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PCゲームで戦争の恐ろしさを体験する!?

 

2001年1月14日

パソコンのゲームには、『一人称視点(FPS)の3Dアクションシューティング』というジャンルがあります。(『FPS』はゲーム用語辞典を参照)
詳しく説明すると長くなるのですが、まあ簡単にいうと立体的に構築された迷路状の空間内で、プレイヤーはあちこち移動しながらマシンガンやライフル、ロケットランチャーなどの武器を使って敵をバリバリと蹴散らしていく(もしくは蹴散らしつつ出口まで辿り着く)というタイプのゲームです。
その際、プレイヤーの視点がそのままゲームの画面となるので、一人称視点、すなわち『FPS』タイプのアクションシューティングとなっているというわけです。
代表として『QUAKE』、『HALF−LIFE』、『UNREAL』、『UNREAL TOURNAMENT』など。
あと、『DOOM』なんかはプレイステーションでも出ているので、結構知っている人いると思います。
基本的にこれらのゲームはメイン市場がパソコンな上に海外のメーカーが主に製作しているので、家庭用ゲーム機メインでありまた『パソコンゲーム=18禁のエロゲー』となっている日本では、どうにもイマイチメジャーになりきれないジャンルであります。
でも実際はとても面白いんですけどねえ。『HALF−LIFE』なんか『バイオハザード』より完成度高いと思うし。個人的には家庭用ゲーム機にこの手のゲームが沢山移植されて知名度が上がってほしいなあと思います。といっても、コントローラや解像度、メモリなどの関係から家庭用には移植が困難なジャンルなのは確かですけど……。
まあそれはさておき、とにかくここで言いたいのは、パソコンゲームにはこの手の『一人称視点3Dアクションシューティング』が数多く存在するという事です。

で、このタイプのゲーム、やった事のある人ならば分かると思いますが、とにかく面白い。
その要因となっているのは、通常の3人称視点(TPS)のゲームでは味わえない、一人称ならではの面白さがあるからです。
ゲーム中は前後左右上下何時何処から敵が現れるか全く分からず、頼れるのは音と自分の注意力だけ。
視点が一人称なのでプレイヤーは前しか見えず、周りに注意を払わないと後ろから攻撃される事も珍しくありません。
しかし、それを上手く使えば気付かれる前に敵を倒す事も出来るし、逆にこちらが気付かないうちに敵が攻撃してきてやられてしまうという事もあります。
この緊張感がたまらなく面白い。
しかも、インターネット上での対戦になると更に面白さがアップ!
基本ルールはゲームによって『デスマッチ』や『旗取り合戦』などに分けられるのですが、クリア条件こそ違えど、敵との戦い方のみを上げるならばどのモードでもそんなに変わらないです。
このインターネット上での対戦ですが、ある程度行動がパターン化されている1人用時の敵キャラ達とは違い、相手は自分と同じ人間なので、当然同じ行動はほとんどしないし、また相手が変われば戦略もガラリと変わる。
プレイヤーによっては物陰に隠れて相手を待ち伏せしていたり、死を恐れずむやみに突っ込んで来たり、高台から手榴弾を投げまくったり、罠を仕掛けて待っていたり、傷ついたプレイヤーばかりを狙ったり、狙撃が異常に上手かったり、逃げ足がやたら速かったり、背後から攻撃ばかりしてきたり、すぐに隠れてしまったり、など、ところ変われば姿も変わるというように、対戦時にはもうとにかく無限とも言えるほどの戦略と行動パターンがあり、ある意味終わりの無いゲームともいえるでしょう。
相手プレイヤーも自分と同じ人間なので、やられると悔しいし、逆に裏をかいて敵を倒すととても『してやったり』みたいなカタルシスが味わえます。
とにかく1人用も対戦も非常に面白いゲームなんです。
やった事のない人はだまされたと思って『HALF−LIFE』あたりをやってみましょう。
ちなみに対戦なら『UNREAL TAURNAMENT』ですね。これまた一人用でも十分に面白いです。

とまあやたら前置きが長くなりましたが、いよいよここからが本題。
上では『一人称視点の3Dアクションシューティング』タイプのパソコンゲームは面白いだのと個人的意見も込めながらだらだらと説明しました。
しかし私はある日、この『一人称視点の3Dアクションシューティング』タイプのゲームをプレイしていてふと思った事があります。
それは

このタイプのゲームって、冷静に考えると本物の戦争の疑似体験をしてるんじゃないかな?

ということ。
上の文章だけでは意味がわかりにくいかもしれませんが、分かりやすくいうと『本当の戦場の恐ろしさ、理不尽さ、死にやすさ』というのを擬似的に味わっているんじゃないかという事です。
このタイプのゲームでは空間は3次元で構築されていて、プレイヤーの視点は一人称。また武器は銃器がメインであり、現実に存在する銃をモデルにしたモノも数多くあります。
とにかくプレイヤー自身の行う行動が限りなく現実に近いので、逆に考えると現実の戦場、すなわち実際の戦争上でも起こりうる事を体験できてるんじゃないか、と私は思います。

代表的なのが、ネット対戦ではかなりポピュラーな『デスマッチ』や『チーム戦』などの、戦い合うというのがメインのモード。
このモードのルールは非常にシンプルで、デスマッチなら自分以外の全ての敵を、チーム戦なら敵チームのプレイヤーを倒して最終的に最も多く敵を殺した者が勝ちというモノです。
やってみるとわかるんですが、これは非常に難しい。
慣れないうちは自分は殺されてばかりなのに敵は一向に倒せず、結局最終的に一人も倒さずしてゲームが終了してしまう事もしばしばです。
それにある程度慣れたとしても、やっぱり難しい。
敵も人間のプレイヤーが操作しているので、決まった戦い方というのが見つからなく、ありとあらゆる方向からありとあらゆる方法で攻撃してきます。
何時如何なる時も全く油断を許さない展開となるので、非常に面白いスタイルの対戦なんですが、これ、冷静に考えてみると、実際の戦場の状況とかなり似てるんじゃないかと感じます。
戦争映画では、あらゆる方向から現れる敵達に兵士達がまるで害虫駆除でもされてるかように次々とやられていくシーン、というのがよくありますが、このネット対戦でも考えてみると同じような事を体験しているんじゃないでしょうか。
例えばゲームのネット対戦では

敵1人を倒したと思った瞬間、後ろから攻撃されて死。
両側から挟み撃ちにあって死。
自分はハンドガン(拳銃)しか持っていないのに、相手が容赦無くロケットランチャーを撃ち込んできて死。
狭い通路で敵と出会った瞬間、攻撃されて死。
武器のリロード(再装填)をしている間に攻撃されて死。
爆弾の罠に引っかかって死。
上から爆弾を投げ込まれて死。
物量作戦で押されて死。
2人、3人がかりで攻撃されて死。
物陰に隠れて様子をうかがっていたら、手榴弾を投げ込まれて死。
移動中、背後から撃たれて死。
突然のスナイパーの狙撃で死。

など、とにかくとてつもないほど膨大な死にパターンによって、ちょっとでも油断すると本当にあっさりと殺されます。
でもよくよく考えてみると、このシチュエーションって現実の戦場に非常に酷似してると思いません?
戦場では一対一の戦闘なんてほとんど起こるはずも無いし、『デスマッチ』のように自分の周囲がすべて敵に囲まれているという状況も決して珍しい事ではないはず。
上にあげたいくつかの例ですが、恐らくどのパターンも多くの戦争映画で何度も使われている手法だと思います。
そう考えてみると、これらゲーム中では笑って過ごせるようなやられパターンでも、現実に考えるととても恐ろしいモノなのではないでしょうか。

例えばゲームをスタートさせて1分後にやられてしまった場合、実際の戦場でも戦闘が始まって1分ほどで死んでしまうという事を如実に表しているわけです。
また敵の居場所を探っている時、突然の狙撃で死んでしまうと、大抵のプレイヤーは『うわっ、やられちゃったよ!どこから撃たれたんだ!?』といった事を冗談混じりに口走ってしまうものですが、これを実際の戦場に当てはめてみると、いきなり何の前触れも無く、突然自分はどこから飛んできたか分からない弾丸に当たって死んでしまうという事に。これは怖い。
それに、仕掛けられた爆弾でやられるというゲーム中ではポピュラーなやられパターンも、実際の戦争では一体何時何処で起こるのか全く分からない。気付いた時にはもうすでに死んでいる。なんとも恐ろしい状況です。
他にもネット上での対戦の場合、『敵は正面からではなく、後ろから撃つ』というのは有効なパターンとなっており、当然実際の対戦でも正面から撃ち合う事はあまり賢い選択ではなく、上手い人の場合は敵の背後や側面から撃つ事が多いです。しかしこれも考えてみると、実際の戦場でも正面から撃ち合ってやられるよりも、背後から撃たれて死んでしまう事の方が遥かに多いというのを現しています。想像してみるとかなり怖い。
それ以外にも、このタイプのゲームでは隠れて待ち伏せ、物陰に隠れて敵を攻撃、という戦略が使えるんですが、しかし、隠れるという事は見を縮めて敵に見つからないようにしているのであり、逆に考えると敵に見つかると即座には逃げられない場所にいる、あるいはそのような体勢になっているともいえます。となると、隠れている所を見つかりそこにグレネードや手榴弾、ロケット弾などをぶち込まれると目も当てられない。実際の戦場でもそんな事は十分に起こりえるはずです。そう考えると隠れるという行為も決して安全ではないという事を実感させてくれます。

また、この手のネット対戦では、プレイヤーのプレイした結果が表示されるようになっています。
基本的に『獲得フラグ数(他のプレイヤーを殺した数)』と『失ったフラグ数(他のプレイヤーに殺された数)』が表示されるんですが、これも冷静に考えてみると、実際の戦場での恐ろしさを克明に表しています。
例えば獲得フラグ数が10で失ったフラグ数が4の場合、現実に換算して考えると、同じレベルの兵士達がいた場合は、10人の敵を倒す間にすでに4人は死んでいるという事を表しています。
それに、たとえどんな上手いプレイヤーでも、1回のプレイ中に1度か2度またはそれ以上は必ず死ぬはずです。プレイ終了後に失ったフラグ数0というのはほとんどありませんし、私自身もほとんど見た事ありません。
また初心者の場合、デスマッチの部分でも書きましたが、ネット対戦をスタートさせても何が何だかわからないうちに次々とやられてしまい、失ったフラグ数が増えるばかりで獲得フラグ数がまるで増えないという事がよくあります。これも考えてみると、実際の戦場と同じく、大抵戦闘が始まると真っ先に死ぬのは新兵からという、映画などで語られる『新兵は死に易い』というジンクスなども、あながち間違っていないような気がします。
とまあ、これらゲームの状況を改めて考えてみると、実際の戦場に出て生き延びるというのがいかに難しいか、いかに死に易いか、というのが、映画や体験談などよりも遥かに明確に体験できてるんじゃないでしょうか。

もちろんゲーム上での状況はあくまでゲーム上での事であるので、弾が一発当たったくらいでは死なない、死にかけていても同じ速さで動ける、疲れを知らない、救急箱を取るとその場ですぐに怪我が治る、武器を多数携帯できる、弾が当たっても痛みでひるまない、ゲーム内での出来事なので実際に痛みは無い、など、それこそ無数なまでに現実との違いはありますが、それでもこのタイプのゲームは戦略や敵の倒し方などは、現実の戦場で行う戦法に非常に酷似していうということから、現実の戦場での戦いの疑似体験という面においては、割と信憑性のあるんじゃないでしょうか。

という事を、このタイプのパソコンゲームをしながらふと考えてしまいました。
実際の所は、どうなんでしょう。どれほど現実の戦争に近いといえるのだろうか。

あ、そういや最近は更に現実の戦闘に近い『特殊部隊ゲー』というのがありますね。
これに関してはプレイした事無いのでなんともいえませんが、多分この場合、更にリアリティのある戦争の疑似体験が出来るんじゃないでしょうか。