戻る

 

ビギナーズラックはウソかまことか!?

 

2002年8月2日

今回は、パチンコ、パチスロ系の話題です。


ビギナーズラック』という言葉があります。
簡単に言うと、素人や初心者の持つ『運の良さ』ですか。
運が絡む事柄−例えば釣り、ギャンブル、くじ引きなど−においては、その手のジャンルでは素人同然もしくは初心者といえる人が、他の人よりも運良く当たりなどを引き当てるというケースがよくあります。
例えば、パチンコ、パチスロ好きの知り合いに付き合わされ、なんとなしにこれらを初めて打ったある人が、初めてなのにもかかわらず、大当たりが出まくって大勝ちするなど。
で、逆に誘った方のパチンコやパチスロ(以後2つをひっくるめてパチンコと呼びます)好きの知り合いは、全然勝てないという。
初心者の人のみがなぜか持っている強運やツキ
これがいわゆる『ビギナーズラック』と呼ばれるものです。
しかしながら実際には、この『ビギナーズラック』なるもの、理論としては全く合点のいかないものであり、なぜ初心者がそのような強運を持っているのかも謎です。
にもかかわらず、多くの人−この場合はパチンコをする人ですね−の中には、このオカルト的な現象を信じている事が非常に多い。
実際、パチンコ雑誌などでもこの表現は何度も使われており、また巷でもビギナーズラックという言葉を持ち出したり使ったりする人は数多くいます。
では、なぜこのようなジンクス的な現象が、それほどまでに信じられているのか?
ここではその謎について、語っていきたいと思います。


まずいきなり結論から言ってしまうならば、この『ビギナーズラック』は、実在しないものであり、実際には絶対にありえないものだ、というのが私の意見です。
初心者のみが持つ強運というのはあくまでジンクスであり、縁起的なもの。
言うなれば、たまたま起きただけの、偶然の産物というわけです。
考えてみれば当然の事で、単なる乱数を拾うプログラムで構成されているパチンコ、パチスロの機械に、打ち手が初心者かどうかなんて分かるはずはないし、ましてや打ち手が初心者だから当たりやすく調整するなんてこと、出来ようはずもありません。
それに、可能性としては無くとも、仮にそういう事が実現した場合、それは店側が違法行為をしている事になります。
そりゃ当然ですね。
特定の人にのみ当たりを偏らせるように仕組んでいるのですから。
パチンコの当たりというのは、確率で成り立っているのです。
大当たりになるのは確率の範囲内で当たりの数値を引き当てたからであり、当たらないのはその他多数のはずれ数値を引き当てたからに他ならないのです。
また、初心者だから一時的に運が良くなるというのも、少し考えればわかるものですが、そんな事ありえるはずがありません。
運が良いというのは、ただ単に確率の範囲内において大当たりを引き当てただけの事であり、運が悪いというのは、単に確率の範囲内においてはずれに当選しただけの事なのです。
むろん、低い確率である大当たりを数多く引き当てる事は、ありえるでしょう。
しかし、それが特定の状態になっている時(この場合はビギナー状態の時)に起こりやすくなるなんて事は、絶対に起こり得ないことです。


分かりやすい1つの例として、パチンコや競馬などのギャンブル雑誌で良く広告している、幸運を呼ぶアイテムなど。
パチンコなどのギャンブル系雑誌を読んだことのある人ならば、『このペンダントが神秘のパワーで幸運を呼び寄せる!』、『私はこのアクセサリを持つようになって以来、パチンコで常勝する事が出来るようになりました』といった、幸運を呼び寄せるアイテムの宣伝や広告などを1度は見た事があるでしょう。
しかしながら、この手の宣伝、信じている人がどれほどいるというのでしょうか。
おそらく、ほぼ全ての人は、このような宣伝を見た所で、『胡散臭い』としか思わないはずです。
なぜなら、理論的な裏付けが全く無いから。
一体どのようなメカニズムで幸運を呼び込むのか、どのような仕組みで当たりを引き当てるのかというのが、一切説明されておらず、単に運の良くなる石の力など、えらく抽象的な表現によって説明されているだけ。
考えてみれば、当然です。
そんな事は絶対にありえないから。
運の良さなんてものは単に人間が確率の要素を手前勝手に都合よく解釈しただけのものです。
人の手でどうこうできるようなものではなく、どんな状態だろうが、どんなアイテムを持っていようが、全て確率の範囲内で起こっているだけなのです。
当たる時は当たるし、当たらない時は当たらない。
実際に、確率に関する『確率論』は誰でも知っている学問ですが、しかし運に関する『運論』という学問は聞いた事がありませんし、あったとしても個人の学問の粋を脱していません。 
なぜなら、論としては成り立たないから。
つまり、運を呼び込むアイテムというのは、ただのゲンかつぎやジンクスのようなもの。
それを持っていると、なんとなく運が良くなったような気がするだけという、いわゆる精神的な安堵感を充足させるためのものであり、実際の大当たりを引き当てる確率というのは、何一つ変わってないのです。
仮にもし上記のような宣伝が本当であり、持っているだけで運が飛躍的に上昇するという神懸り的なアイテムが実在するのなら、それらはもっと有名になっているはずであり、もっとポピュラーになっているはず。
でも、そうはならない。
答えは簡単、上記のようなアイテムは単なる気休めであり、それによって実際に運(この場合は大当たりに当選する確率か)を上下させる事などありえないからです。
パチンコ用語で言うなら、俗に言う『オカルト(例:リーチ中に盤面の鍵穴を押さえる当たりやすくなるといった、根拠の無い迷信)』というヤツですか。


もう1つ、ビギナーズラックがありえないものと証明するための分かりやすい例が、パチプロのスタイル。
世間にはパチプロと呼ばれる、パチンコ(パチスロ)によって生活費を稼ぎ出している人がいます。
パチプロにはいくつかの種類があり、新装開店を専門で狙って儲ける新装開店プロ、特定のパチンコ店を根城にして地道に収入を得るジグマ、攻略法を駆使して儲ける攻略法プロ、改造ロムや体感機などを使った違法行為を行って儲けるゴト師などに大別されます。
しかし、共通して言えるのは、彼らの誰一人として『運』に頼った勝ち方をしている人はいないという事。
新装開店プロは、新装開店や新台入れ替えという、通常よりも出玉率が良く調整されている時期を狙って打ち、儲けます。
ジグマは、毎日特定のパチンコ店に出入りし、各台の大当たり回数や出玉状態のチェック、釘状態の確認などを綿密に行い、それらのデータを駆使して、その店の経営方式をつかみ、そしてそのみせにおいてそしてその店おいて最も出る可能性のある日、出る可能性のあるシマ、出る可能性のある台、最もデジタルの回る台を予測して打ち、儲けます。
攻略法プロは、その名の通り体感機、止め打ちなどを使った攻略法を駆使して打ち、通常よりも確実に高い確率で大当たりを引き当て、儲けます。
ゴト師は、パチンコ台に改造を施したりなど、特定の違法行為を行って、必ず出るようにして打ち、儲けます。
パチプロと言えばパチンコ打ちの達人であり、パチンコ打ちの最上クラスともいえる人達ですが、以上を見てもわかるように、どのタイプのパチプロも、あくまで、通常よりも出る勝率の高い打ち方、つまり理論的に勝率が高くなる方法を用いて稼いでいるのです。
運をあてにして儲けているパチプロなどいません。
私も一時期は生活費のほぼすべてをパチスロで稼ぐというパチプロまがいの事をしていたので、これについてはよく知っています。
つまり、運なんてものはそれくらい、あてにならないものなのです。


では、なぜ世間一般では、このようにまったくといっていいほどあてにならない、まるで根拠の無いオカルト現象ともいえる運やツキの変化といったものが、『ビギナーズラック』といった名称で広く呼ばれ、使われるるようになったのか?
おそらく、これは以下の2つの理由から来ているものではないかと、私は思っています。


1つ目の理由は、ビギナーズラックというのは、そのような感じの現象を経験した人のみが語るから、さもありえるかのように思えてしまうということです。
『ビギナーズラック』を語る人は、大抵このビギナーズラックとおぼしき現象を経験したことがあるはず。
でなければ、ビギナーズラックなどというものを語ることはないはず。
反面、経験したことの無い人は、当然、ビギナーズラックを語ることはほとんどありません。
ひとつの例を出して説明すると、このようになります。
まず、ここに『Aさん』と『Bさん』という、それまでパチンコを打った事が無く、今回初めてパチンコを打つことになった二人がいると仮定してみましょう。
基本的にパチンコを全然打った事が無い人、打たない人、そしてあまり知らない人というのは、パチンコなんて負けて当然のものだと考えるものです。
かくいう言う私もパチンコを打ち始める前まではそう思って手を出さなかったし、また私の知り合いでパチンコを打たない人もみな同じ考えを持っていました。
そりゃそうです、競馬や競輪、宝くじなどと同じように、負けるのが当然と思っているからこそ、パチンコを打たないし、打とうと思わないのですから。
で、そのようなごく普通の考えを持ったAさんとBさんが、知り合いに誘われるなどといったとあるきっかけやなりゆきによって、パチンコを打つ事になりました。
そんな素人同然の二人が打ち始めて数時間後、最終的にAさんは初めてにしては運良く大勝ちをし、Bさんはあっという間に負けてオケラになってしまいました。
とすると、どうなるか。
Aさんは初めて打ったパチンコで大勝ちを経験したので、おそらく「いやー、負けて当たり前だと思っていたのにまさかこんなに勝てるとは、ビギナーズラックって現実にあるものなんだなあ」と感じ、また印象深く記憶に残るものです。
Bさんはあっという間に負けてしまったので、「ああ、パチンコなんて所詮勝てるわけ無いんだよな、思ったとおりだ」と当初の予想通りといった気分で、まあこう言うものだろう程度の印象しか残らないものです。
つまり、Aさんは実際に起きた実体験から、ビギナーズラックなるものがありえるものだと信じ込むようになります。
反面、Bさんはそのような幸運を体験しなかったため、ビギナーズラックそのものの存在を確信する事はありません。
そして以後、Aさんは『ビギナーズラックは存在するものである』という現象を強烈な印象を持つ体験談としてしばらく忘れる事は無く、以後はしばしば話のタネとする事でしょう。
予想が思ったとおりの結果となったので特にこれといった印象を受けなかったBさんは、『ビギナーズラック』の存在を信じるどころか、自ら話題にあげる事すらないでしょう。
その結果、おおよそAさんのような人のみが『ビギナーズラック』という現象を話題にします。
すると、実際に体験したAさんのような人ばかりがこれに関して話すようになるので、話題に上げる人のほとんどがこれを経験しているという事になり、このビギナーズラックなるものがさも実際にありえるかのような錯覚を受けるのです。
それに、パチンコをプレイする人の由来からもこれを伺い知る事ができます。
パチンコを定期的にプレイする人、もしくはパチンコが好きな人というのは、基本的にビギナーの時代にたまたま大勝ちをしてしまい、そしてその勝ちの魅力に味を占めてしまってそのままズルズルとパチンコを繰り返してしまい、で、気がついたらハマっているという状態に陥るパターンがほとんどです。
逆に、最初から負けてばかりの人は、パチンコに魅力を感じる事も無く、当然それ以降続けてプレイする、つまりパチンコ好きになってハマる事はほとんどありません。
これは言い替えると、パチンコが好きで定期的にプレイする人の多くは、ビギナーズラックのような錯覚を体験した事があるという事になります。
とすると、パチンコ打ち同士が語る場合、ビギナーズラックなるものはほぼすべての人が経験したという事になるわけですね。
ビギナーズラックなんて物は、大抵パチンコ打ちなどの間の話として語られるものですから、とどのつまり、ビギナーズラックはそれらを経験した人のみが語るという結論になり、したがってビギナーズラックは実在するように見えるわけです。
現実には、ビギナーズラックのような、たまたま初めてのパチンコで勝つ事を体験してない人もかなりの数にのぼるものなのですが、しかしそういった人たちはこの事を話題にしないため、あまり知られる事が無いわけです。


次に2つ目の理由として考えられるのが、勝ちに対する印象度。
人間、誰しも初めての、もしくは慣れていない状態で行った特定の事柄が、自分の想像以上にうまく行った場合、非常に強烈な印象を残し、しばらくの間は記憶に鮮明に残るものです。
例として、初めて出場した試合で、自分が得点を入れたり、ファインプレーをしたり、自チームが劇的をしたりなど。
実際、スポーツをしている人の場合、自分のデビュー戦、それも勝利を飾った試合というのは非常によく覚えているものです。
かくいう私もそうでした。
これはパチンコにおいても当てはまるもので、知らない人にとっては一般的に『負けて当たり前』と思われているパチンコにおいて、右も左もわからない状態で打ったものがまさかの大勝ちとなると、『信じられない!』ということで、かなり強烈に脳裏に焼き付くものです。
その上、ギャンブルというのは負けよりも勝った時のほうが記憶に残りやすいもので、パチンコにおいて自分では結構勝っていると思っていたものが、実は合計するとかなりのマイナスになっているという事も珍しくありません。
事実、今までは感覚的にはそれほど負けてないと思っていたのに、その日の勝ち負け額を記録する収支表を作成するようになって以来、自分がどれほど負けまくっているかというのを知った人というのは、けっこういるものです。
かくいう私もそう。
つまり、勝ったときの印象というのは負けたときに比べて遥かに強いものであり、ことさらパチンコを始めたばかりの頃、つまりパチンコに慣れてないビギナー時代においては、たった一回偶然大きく勝った事がことさら脳裏に鮮明に焼き付いて、その他の負けの事実がかすんでしまう、もしくは忘れてしまうというのがよくあるものです。
さらにまた、同じ勝ちでも初心者の頃に経験するのとパチンコに慣れた後で経験するのとでは、印象の度合いが違います。
パチンコをはじめてプレイする人の場合、1000円で当たって1万円勝ちになると、相当にすごいものだと感じるものです。 が、しかしパチンコに慣れた人、もしくはハマっている人にとっては、大した事ではありません。
つまりまとめると、初心者時代においてはちょっとした勝ちだろうがそれが非常にすごいものに感じられるものであり、また勝ちの印象が強くて負けに関する事はあまり考慮しないという事なんですね。
その結果、初心者の頃にちょっとした勝ちを味わっただけで、まるで運がよくなったかのごとき現象『ビギナーズラック』なるものが存在するように感じられる、と。
実際に冷静に分析してみると、初心者の頃も上級者の頃も、勝ちと負けの金額は大して変わってないんですけどね。
いやむしろ、打ち方を知らない初心者時代のほうが、割合的にはより負けているといえるかも。

このように、ビギナーズラックというのもは絶対に実在しないものです。
理論的にまったく説明のつかないこの現象ですが、しかし上に書いたような理由により、まるでさも本当にありえるかのような錯覚に陥っているのです。
人間の『運』なんてものは形状も質量も無い、あまりに抽象的で非現実的なもの。
運が良いか悪いかというのは、ただ単に、確立の範囲内で当選したか、していないかの違いだけ。
イカサマや当選するための工夫といった、物理的な介入を行わない限り、当選確率が変化するなんて事はありえないのです。
当然、それはビギナーズラックにおいてもそう。
確立の範囲内で当たっただけの事が、初心者という特殊な状況下なせいで、さも運が良いと見えるだけであり、実際には何一つ確立を超えた現象は起きていないのです。
確立以上でも、以下でもない。
単なる錯覚によって、そのような幸運がさもありえるかのように見えるだけです。
ビギナーだろうが、玄人とだろうが、プロだろうが、当たりに当選する確率はみな平等。
確立が重要視されるギャンブルの場合、ビギナーズラックのような、運を当てにして行っては、到底勝てる見込みなどありません。
つまり、本当に勝ちたいと思ってパチンコを打つのなら、絶対に運をあてにしてするのだけはやめておいたほうがいいでしょう。