命を懸けねば、稼げない
タイトル画面。 UPLの文字を見ると涙が… ミッション1、メインエンジンを破壊せよ!


オメガファイター


UPL アーケード


オメガファイターは、今はなきUPLから1989年に登場した、縦スクロールシューティングゲームです。
ゲームはシューティングらしくいたってシンプルで、ショットで敵をアチャアチャと破壊していくだけ。
しかしながら、このゲームはそんな一言では片付けることの出来ない、かなり異端かつ面白い、それこそ、当時にしては斬新すぎて他では見られないようなシステムを採用しており、今出しても通用するくらい面白い内容。
そんなゲームでした。
では、なにがそんなに目新しく面白いゲームなのか。
そんなオメガファイターの特徴と魅力を、とくと語ってみようと思います。
ゲームスタート。 見よ!この超連射! ヤッター10倍取ったよー 敵ボスも近づいて壊せ!でも10倍取るにはあと数ドットは接近しなければ


 ゲームの全てがボス戦
このゲーム、まずゲームの展開や演出そのものからして独特です。
ゲームは8つのステージで構成されていますが、しかしその全てがボス戦だけで構成されているという。
内容そのものは『地球侵略を企てる大型戦艦を撃破するために一機の戦闘機が地球の命運をかけた戦いに挑む』という、まあ王道というかありきたりというか、とにかくそんな感じのストーリーだったりするんですが、しかし珍しいのは、大型戦艦と戦うという内容のために、ゲームは終始その戦艦との戦いだけで展開されるという事。
つまり、舞台となるのは大型戦艦上のみで、ステージ1はメインエンジン周辺、ステージ2は左翼周辺、ステージ3は前部大型キャノン砲周辺、ステージ4は右翼周辺、ステージ5はコア部周辺、ステー6はコア部から戦艦内部、ステージ7は中心部へのルート、そしてステージ8はマザーコンピュータと、大型戦艦の各パーツ部分にて戦いが展開されるわけです。
そして攻撃してくるのは、戦艦に装備された大小さまざまな砲台と戦艦を護衛する戦闘機群。
砲台と戦闘機郡の迎撃を潜り抜け、戦艦を少しずつ破壊していく。
もちろん、プレイヤー機が破壊した部分はちゃんと壊れていきます。
左翼を破壊すると左翼がバリバリと戦艦本体から剥がれていき、レーザーキャノン砲を破壊するとその部分が分断されていく。
この演出と展開が、当時のゲームにしてはけっこう珍しいものでした。
これ以前にもR-TYPEやサンダークロスなど、一つのステージが丸々巨大戦艦との戦いで構成されているゲームはあったものですが、しかし全てのステージ通して巨大戦艦との戦いのみで構成されているゲームとなると、おそらくオメガファイターが最初なのでは。
ついでにいうと、ゲームの舞台がそうなっているせいか、当の巨大戦艦はとてつもなくデカイです。
それこそ、今まで出たビデオゲームの中で、多分単体のキャラクターとしてはトップクラスにデカい大型戦艦かも(実際には一部分ずつしか出ないけど)
Gダライアスのクィーンフォッスル並か、それ以上。
あと面白いのが、スクロール方向が縦だけではないということです。
戦艦上で戦いが展開されるという構成のためか、このゲームは縦スクロールの形態こそとっているものの、スクロールする方向そのものは一定ではなく、横、斜めはもとより、下方向にもスクロールしたりします。
前進、左移動、右移動、バック、そしてまた前進と、この多彩なスクロール方向の変化が、なんとなく小さな戦闘機が巨大戦艦に挑んでいるという様をよくあらわしてて面白い。
あ、それとも一つ付け足すなら、ゲームオーバーになると、プレイヤーと戦闘を繰り広げてた戦艦が地球の上空に停止し、一斉攻撃を放つというシーンが流れます。 ゲームオーバー時にこういう演出を盛り込んだゲームというのはこの当時はあまりなかったもので、そのためこのゲームのゲームオーバー画面はなかなか珍しいものでした。
ゲームの画面自体は地味であまりパッとしない感じがしますが、なかなかどうして細かな演出が凝ってるゲームです。
ちなみに、エンディングのシーンも一見の価値アリ。
2P同時プレイも可能。 二人で超連射だ! 3面。 この岩場の砲台の攻撃がいやらしいんだ、これが。 ターゲットを破壊した事でバリバリと剥がれていく左翼


  あまりにも熱すぎるスコアシステム
このゲームを紹介する上で絶対にはずせない部分、いやさこのゲームの全てを物語っている部分はといえば、ズバリこれ、スコアシステムに他ならないでしょう。
今でこそシューティングゲームのスコアシステムというと、ゲームの基本的なシステムと大いに関連するようなものからまるで関連のない部分によって得たりするものまで、とにかく把握するだけでも大変なほど多種多様で複雑な内容のものが揃っているもので、それらを駆使してハイスコアを狙うプレイは通常のクリア優先プレイとはまた違った楽しみがあります。
がしかし、この頃1980年代後半のシューティングゲームのスコアシステムといえば、敵を大量に破壊すればいいだけというような、いたってシンプルなものばかりでした。
まれに特殊なスコアシステムがあったとしても、せいぜいはフルパワー状態で武器アイテムを取り続ける、敵を速く撃破する、特定の場所に隠された得点アイテムを取得する、などなど、通常プレイの延長のようなものでした。
そのためか、当時のシューティングゲームでのスコアシステムのほとんどは、どこまでノーミスで進む事が出来たか、どこまで先に進む事が出来たかというバロメーターとしての図式がおおよそ成り立っていたものです。
つまり、ゲームでハイスコアを稼ぐということは、必然的にノーミスノーボムで効率よくプレイし続ける、言い換えれば通常の効率よく進むための攻略をそのまま実践する事が、ハイスコア獲得のためのプレイとなっていたわけです。
中には一部、何か特殊なパターンを作る(残機つぶしや敵弾つぶしなど)とスコアが変わるものもありましたが、しかしあくまでごく一部であり、多少粘ったりする程度のものはあれどゲーム性を大幅に変えるというほどではなく、基本的には通常プレイスタイルに毛の生えた程度の影響だけでした。
これはいうなれば、ゲームを上手くプレイし続ける事こそがハイスコアへの道、稼きたいなら先に進み続けるしかないというのが主なプレイスタイルだったわけで、最近のゲームのように稼ぐために通常とは大幅にプレイスタイルを変えるという事をする必要などはなく、詳細は多少違えど、基本的に普通に効率の良いプレイをし続ける事こそがそのままハイスコアにつながっていたわけです。 今から考えると、稼ぐためのプレイをする楽しみというのがほとんどなく、ある意味つまらないスコアシステムかもしれませんね。 もっとも、この頃はこれが普通だったんですが。
で、そんな中、非常に画期的ともいえるスコアシステムを引っさげて登場したのが、このオメガファイター。
このゲームでメインとなるスコアシステム『倍率ボーナス』システムは、恐ろしくシンプルです。

 敵に近づいて倒せば倒すほど高得点

これだけです。
正確に言うと、プレイヤーとの距離が近ければ近いほど敵を破壊したときのスコア倍率が上昇し、最大で10倍ものスコアが獲得できるというものです。
たとえば100点の敵を遠距離で破壊するとx1で100点、多少近づいて破壊するとx3で300点、目と鼻の先まで接近して破壊するとx10で1000点。
本当にこれで全て。
もうこれ以上ないというくらいの単純明快さ。
誰だって最初のプレイですぐに理解できるスコアシステム。
わかりやすすぎです。

しかし!
これがものすごく熱い、いやさ一筋縄ではないほど熱すぎなんですよ!
多分、シューティングゲームの得点システムの中でもトップクラスといえるほど熱いスコアシステムといえるかも。
シューターにとっては垂涎モノかもしれません。

シューティングゲームにおいてのスコアシステムは、そのゲームの魅力を演出する最大の要素の一つといえます。
では、面白いスコアシステム、熱いスコアシステムとは何か?
私の意見では、『クリアするだけなら難しいがそこまで難しいわけではないが、稼ぐとなると難易度が大きく上がる』というスコアシステムだと思います。
つまり普通にプレイする分には誰しもがそれなりに遊べる内容になっているのが、そこから稼ぐプレイをするとなると、大きなリスクや制限が設けられるようになり、今までとはまったく異なる難しいゲームになるというものです。
例えば敵を破壊する順番やタイミングが非常に複雑なゲットポイントシステムを持つ怒首領蜂シリーズとか、一定のシビアなタイミングでアイテムを取ると高得点が獲得できるストライカーズ1945シリーズ、敵弾にかすることで高得点が獲得できる雷電ファイターズシリーズ、わざと敵に弾を撃たせてそれをアイテムに変化させるエスプシリーズ、なんかがこれに当てはまりますね。
んで、そのなかでも特に熱く楽しいのが、『リスクの大きいプレイをするとそれだけハイスコアにつながる』という形のゲーム。
いうなれば、
大きな危険を冒す
 >死ぬ可能性が極めて高い
  >ゲームの難度が格段に上がる
   >やり応え抜群になる
    >常に死と隣り合わせの緊張感
     >それによって獲得したハイスコアの達成感、
と。

このオメガファイターのスコアシステムは、そんな熱さをマキシマムなまでに体現しているものだといえます。
敵に破壊するときに近づけば近づくほど高い倍率を獲得できる。
そして最大倍数である10倍を獲得するには、敵に触れるか触れないかというほど超接近して破壊しなければならない。
しかし、敵に近づけばそれだけ敵の体当たりを食らう可能性が上がり、また敵弾に喰らう確率も飛躍的に高くなります。 ちなみにこのゲームはいうまでもなく一発死にで、さらにやられ判定は見た目どおりでかいです。
つまり、敵にぶつかるくらい接近するという大きなリスクを負うプレイこそが、オメガファイターにおけるハイスコアへの近道と。
しかもこのシステムは全ての敵に当てはまるのだからたまらない。
ザコの空中物は言うに及ばず、砲台などの地上物も近くで倒せば倍数は上がるし、果てはボスキャラですらも同様。
どんな敵と戦うときも、高得点を得るには接近して倒さねばならず、毎回必ず危険に身をさらさねばならない。
しかしこのゲームには無敵などといった気の利いた要素は一切なく、無敵時間を利用して地近距離で攻撃しまくるといった姑息な手段なんぞ使えません。 ついでにいうと、ミスして復活したときの無敵時間も極端に短いので、これまた死亡直後の無敵を利用して攻撃するなんてあまっちょろい手段も使えません。 もちろん、ボムなんて惰弱な緊急回避手段なんてのもありゃしない。
つまり、高倍率を取るためには、必ず自ら接近して常に危険と隣り合わせの攻撃をしなければならないのです。
まさに稼ぐか死ぬか。
ゲイン・オア・ダイ、なのです。
これだけでも熱い要素といえますが、更にこのゲームはそれに加えて、各ステージごとにこの獲得した倍率はカウントされており、そのステージでもっとも多く獲得した倍率がステージクリアボーナスである10000点の倍率になるというからまたまたたまらない。
そのステージで3倍を最も多く取っていれば、ステージクリア時のボーナスは10000x3で30000点になり、10倍を取っていれば10000x10で100000点になります。
つまりどれだけ高倍率を取得できたかというのは、通常の敵の得点だけでなく、クリアボーナスにすら大きくかかわってくるという。
そしてトドメともいえるのが、オールクラッシュと1UPの出現条件。
このゲームにはどんな敵でも一発で倒せるオールクラッシュと残機が一機増える1UPという非常にありがたいアイテムがありますが、このアイテムはなんと10倍を獲得すればするほど出現しやすくなる、というかむしろ10倍取らないと出現しないようになってます。
スコアだけでも10倍獲得は重要なのに、さらにこんなご無体な条件があるときたもんだ。
もうなんというか、ありとあらゆる方面から、ハイスコア狙わんでどーする!!といえるくらい、近接10倍破壊狙いを煽って煽って煽りまくってます。
それこそ、開発者の『オメーらつべこべ言わずに稼げ!稼ぐのじゃぁ!』という声が聞こえてきそうなほど。
スコアラーでなくとも高倍率獲得したいという野心が煽られまくり。
そんな心揺れ動かされるシステムなためか、このゲームでは普通のプレイヤーでもよせばいいのに必要以上に高倍率を狙ってしまい、そしてそれが原因で必要以上に簡単に死んでしまう事がやたらに多い。
ムリして敵に近づいてドガガン!即効ゲームオーバー!となってしまうケースのなんと多いことか。
でもしかたないんです。
ついつい狙ってしまうような気分にさせられてしまうゲームなんですから。
ある意味、うまいマインドコントロールをしてますな。
はっ、もしかしてそれこそ狙いで、開発者は少しでも速くゲームオーバーになってもらってインカム率を上げるために、このシステムを立ち上げたのかもしれない。
そうだ、そうに違いない!(違うって)
ともあれ、最近のゲームでは、式神の城が『テンションボーナス』というこれと似たシステムを採用してたりしますが、しかしオメガファイターはその10年以上も前に同様のシステムを確立させていたというのがすごい。
スコアを稼ぐという行為とシステムが、これほどまでにプレイスタイルを大幅に変更させてしまうゲームは、多分このオメガファイターが最初かもしれません。
普通にプレイする分には、連射のわりと速いごく普通のシューティングゲームなのに、これが稼ぐとなったら一気に超高難度、リスク極高、死亡率跳ね上がりな激ムズかつ熱い緊張感MAXゲームに早変わり。
もう稼げ!という意思がありありと感じ取れる男らしいシステム。
このゲームが近年の多種多様なそれでいて熱いスコアシステムを採用したシューティングゲームに与えた影響というのは、多大なものがあった……野かもしれないような気がします(多分)
1UP出現! 二人プレイだと取り合いになるぞ とにかく10倍を取らない事には始まらない。 5倍や9倍などで満足してはダメだ 棘とげに挟まれ、前方にはバリアを張ってるボスが。 終盤だけあってきついぞ

 『ワイド』と『アイアン』
次にプレイヤーのショットについて解説します。
たかがショット、されどショット、このゲームのショットは他のゲームのそれとは一味違います。

まずなによりすごいのは、このゲームのショット、恐ろしく連射速度速いです。
弾そのもののスピードも速く、それに加えてショット速度も超高速なもんだから、速すぎて弾がまるで見えません。
それこそ、『帯のような』という表現がピッタリなほど、超高速でブァァァァーッッとすがすがしいまでに連射されるときたもんだ。
扇風機やヘリコプターのプロペラなど、物体の回転が超高速になると人の目にはまるで止まって見えるものですが、この連射はホントそんな感じ。
多分、シューティングゲーム史上最速の連射速度なんじゃないかと。
これだけでも見る価値アリです。
で、そんな超高速連射ショットは、大別して2種類、『ワイド』と『アイアン』に分類されます。
ワイドは攻撃範囲の大きい広範囲系のショット、アイアンは攻撃範囲は狭いけど威力の高いパワー系ショット。
どちらも取り続ける事によりどんどんパワーアップしていきます。
これだけ見ると普通のシューティングでよくあるショットのようですが、しかしながら、このゲームではそれだけで終わりません。
この頃までのゲームといえば、パワーアップというとどんどん強くなっていくのが当たり前のものでしたが、しかしオメガファイターではそんな常識を覆し、どちらのショットにも『パワーアップすればそれ相応の大きなデメリットが発生する』という形となっていたりするのが面白い。

ワイドは広い範囲を攻撃でき、またパワーアップすればショットの幅が広くなっていきます。
ショットの威力そのものは変化しませんが、しかし広い範囲を攻撃できるようになり、フルパワーアップすると画面の半分以上を覆うほどショット幅が広がります。
そのため、敵を特に狙わずとも満遍なく攻撃を当てる事が出来、プレイヤーは避けだけに集中する事が出来ます。
しかしながら、このワイドショットは、『パワーアップすると連射速度が落ちる』というデメリットも持っています。
マックスまでパワーアップさせると2連射しか出来なくなり、ただでさえ低い攻撃力がさらに低くなってしまうという。
まあ、他のシューティングゲームでも、ワイドショットは基本的に攻撃範囲が広い代わりに威力が弱いと設定されている事が多いものですが、オメガファイターではそれに加えて連射力まで下がるのでそれがさらに顕著になります。
広く攻撃したければ攻撃力は期待できない、というのを地で行く武器なのです。

そしてアイアンですが、こちらは攻撃範囲こそ初期状態、つまりプレイヤーと同じ幅しかないものの、威力の高い攻撃を放てます。
そしてパワーアップすると攻撃力はどんどん増加。
これまた、他のゲームで見られるような、強力だけど範囲の狭い攻撃、といった感じにみえます。
しかし、この武器にもやっぱり他のゲームのそれらとは違って、大きなデメリットがあります。
それはズバリ、『パワーアップすると射程距離が劣化する』という部分。
アイアンのアイテムを取れば取るほどショットの威力はうなぎのぼり気味に上昇していきますが、しかしその逆に、取れば取るほどショットの射程は短くなっていくという。
最強クラスになるとボスクラスですら瞬殺できるほどの超威力となりますが、その代わりに射程は自機一機分しかなくなってしまいます。
すさまじいほどの短さ。
この射程の短さは一見の価値ありです、いやホント。
というかここまで短い通常攻撃を採用したゲームって、おそらくこのゲーム以外ないでしょう。
ちなみにこの射程でも正面から破壊すると10倍を取れないのがミソ。

で、実はですね、このアイアンの特性こそが、このゲームでもっとも面白い部分だったりします。
それというのも、このゲーム、硬いキャラがやたら多いため、ワイドは大して使えないからです。
特に後半になるともう固い敵だらけになるので、ワイドは攻撃範囲こそ広いものも、その威力のなさにまるで役立たずな武器となってしまいます。
そのため、このゲームでメインとなる武器は、アイアン。
このアイアンを使いこなす事こそが、このゲーム面白さともいえます。
なぜなら、アイアンの特性は、倍率ボーナスシステムと密接な関係を持ってるから。
アイアンはパワーアップすると射程がどんどん短くなっていきますが、しかしこれは裏を返せば、『自然に敵との距離を詰める事が出来る』ともいえます。
つまり短い射程を逆手にとって、強制的に近い距離でしか敵を破壊できないようにしてしまえるわけですね。
しかし、当然ながら、射程距離が詰まるという事は、敵が思うように倒せなくなるという弊害をも生み出す結果になります。
おおよそは、

稼ぎたいなら射程を短くする
 >短い射程で遠方の敵は倒せない
  >そのため敵の量が必然的に増加する
   >画面中が敵と弾だらけ
    >ギャァース!

てな感じ。
しかしこの構造がゲーム的に面白すぎる。
点数を効率よく稼ぎたければショットを短くするしかないけど、しかし射程を短くすると敵を思うように倒せない。
逆に敵を思うように攻撃したいならショットが長いままを維持すればいいが、しかしショットが長いと遠くで敵を倒してしまう事が多く倍率が稼げない。
まさにあっちがたてばこっちがたたずといった具合。
とてつもないジレンマ。
これほどまでに相反する要素でプレイヤーを悩ませるシューティングがかつてあっただろうか。
普通にプレイするのと稼ぐプレイで、ここまで正反対のスタイルを確立しなければならなくなるゲームは、今見ても珍しいといえるかも。
それはさておき、男ならアイアン、です。
アイアンはパワーアップすればするほど射程が短くなるぞ、注意! ワイドはフルパワーアップするとここまで広がります。 攻撃範囲デカすぎ そしてこちらはアイアンの最強パワー。 射程短ッ! ていうかホント短すぎ。 こんなんで戦えるかい!

 ニュータイプになれる『スローボム』
このゲームのスコアシステムは、常に危険と隣り合わせの恐ろしくリスクの高いボーナスシステムです。
そのためか、狙いすぎて無理して敵に近づいてあっという間にミスとなってしまうことも少なくなく(むしろ死ぬ原因のほとんどがこれ)、『近づいて倒さなきゃならんなんてそんなのムリだふざけんな金返せ』と思ってしまう事も。
しかし、そんな『死をもって稼げ!』といわんばかりにご無体なシステムに大きな助け舟となるのが、この『スローボム』です。
スローボムは三角形状のアイテムで、画面上方から出現し、プレイヤーの左右に一つずつ装備されます。 ちなみにこのスローボムはそれ自体が当たり判定を持っており、プレイヤーが所持している最中に敵弾や敵に触れると破壊されてしまいます。
装備されている状態でボムボタンを押すと、スローボムが発動。
発動すると、約10秒ほど、自機とアイテム意外に全ての要素、つまり画面上の全ての敵と敵弾そしてスクロールが超低速スロー状態になります。
敵弾を避けやすくかつ敵に接近して攻撃しやすくなる上に、攻撃の激しい敵や硬い敵などに密着して撃ち込みやすくなります。
この、敵を破壊するボムじゃなく、あくまでスコアアップを補助するため(と敵を避けるための)機能としてのボムなのが、当時にしては非常に珍しいものでした。
意図的にスローをかけて点数を稼ぐシステムといえば、最近では『エスプガルーダ』の覚醒が有名ですが、このゲームではそれから15年近くも前でありながらこのシステムを盛り込んでいたというから驚きです。
ちなみにこのスローボム、時間にして約10秒程度ですが、しかし画面に有効時間などは一切表示されないので、プレイヤー自信がどれくらいの時間なのかというのを覚えるしかないのが欠点ですが、しかしこれがまた熱い要素だったりします。
スローの時間を最大限に利用して至近距離で敵を撃ちまくれば、その分スコアを稼げるし展開を有利に進める事が出来るんですが、しかし、人間の感覚なんてのはあてにならないもの。
『よっしゃ!スローの間に敵を破壊しまくり!』
と思ってひたすら撃ち込み続けて、いきなり通常速度に戻った敵の体当たりや攻撃を至近距離から喰らってドガン!となってしまうことのなんと多いことか。
というか死亡原因の数割はこれによるものかも。
約10秒という時間を最大限に使って戦局を有利に導くか、もしくは敵を破壊できずとも余裕を持って早めに安全な場所に離脱するか。
またしてもここでジレンマが。
スコアの熱さを倍増させるものながら、死亡率も上げてしまう可能性のある、なんとも複雑な心境にさせてくれるアイテムです。
ボスtの決戦。 ワイドだと威力がないので辛いぞ この距離ではせいぜい9倍しか取れないです。 もっと接近すべし! 10倍を取るにはこれくらい接近して攻撃する必要があります。 まさに命がけ

 オールクラッシュと1UPと
さてこのゲームではスローボムのほかにも、特定の条件を満たす事で『オールクラッシュ』と『1UP』というアイテムが出現します。
『1UP』は文字通り、プレイヤーの残機が一機増えるアイテム。 取れば残機が一機増えます。
そして『オールクラッシュ』は、発動させるとなんと画面中の全ての敵を一撃で破壊できるというすばらしいアイテム。
しかもそれは雑魚敵はもとより、地上物、固い敵は言うに及ばず、なんとボスクラスですら一撃ときたもんだ。
さらには、オールクラッシュで破壊した敵にも倍率設定は適用され、その上プレイヤーよりもY軸が下(後方)で破壊した敵は全て例外なく10倍になるというオマケつき。
それに加えて、この1UPとオールクラッシュは、この2つのアイテムは10倍を取れば取るほど出現しやすくなっているときたもんだ。
正確に言うと、画面上部のゲージは10倍を取得する事により増加し、一定量たまればオールクラッシュや1UPが出現するという事です。
つまりどういうことかというと、オールクラッシュと1UPがほしければ敵をとにかく10倍で破壊しまくらなければならず、さらにはオールクラッシュを使えばボスクラスですら10倍を容易に取れるのでさらにゲージを増やす事が可能という。
ここでもまたまた稼げ!というのをほのめかしているこのシステム!
もちろん、それを狙って不必要に敵に近づきまくって死亡、というのはもはや定番。
恐ろしいことです。
ステージ4のターゲットは右翼だ。 完膚なきまでにこわしまくれ スコア計算画面。 やったー10倍取れたよー 戦艦の中心コアから、内部へと侵入。 これからが本番だ!

 でもあんまり売れなかった
しかしながら、これだけ面白く熱いスコア要素がありながらも、オメガファイターはたいしたヒットを飛ばすことなく、マイナーなままひっそりと消えていってしまいました。
原因はいくつかあるでしょうが、とりあえずゲームそのものに関しては、難易度が高かったのと地味だったのがあまりヒットしなかった原因だったのではないかと思います。
このゲーム、やたらに難易度が高く、ある意味このゲームの最大の欠点になっています。
ハイスコア狙いのプレイなら必然的に難易度は高くなってもしょうがないものですが、しかしそれ以上に、このゲームは普通にプレイしても本来の難易度がかなり高い。
クリアする事そのものがものすごく困難なんですよね。
当時にしてはけっこう大量の敵が出現し、また弾の量もこの頃にしてはちょっとした弾幕レベルのもの。
その割にプレイヤーのやられ判定は見た目どおりに大きく、かすっただけで死亡確定。
また、画面スクロールがやたらと上下左右に動くうえに、その際に弾も微妙に動くため、弾の目測を誤りやすい。
またミス時の無敵時間がかなり短く、立て直しする余裕があまりない。
その場復活にはなっていますが、しかしミスしても敵弾や敵はそのままなので、ミスするとショットが途切れる分、ミスする前よりもさらに追い詰められる結果になるという。
それに加えて復活時の初期ショットはワイドなので、ことさら敵の破壊に手間取ることに。
このゲームは敵が全般的にやたら固いため、ワイドの使い勝手がものすごく悪いです。
硬い敵に撃ち込んでも撃ち込んでもなかなか破壊できないので、ワイドだと結果的に激しい敵の攻撃にさらされる時間がさらに長くなるという。
前半ならまだしも、ステージ3以降になるとアイアンですら破壊に手間取る敵が大量に出現するため、、ワイド取得すると死亡率アップするとも言われているほどです。
とにかく難易度が高かったせいか、わりと敬遠するプレイヤーも少なからずいたと思います。
さらにこのゲームは、『地味』だったのもマイナスだったと思います。
このゲームで使用されてた基盤は当時にしてもそれほど機能の高いものではなかったせいか、正直、1989年に登場したアーケードゲームの割に、画面はPCエンジンやメガドライブといった程度のレベルでした。
実は細かく見た場合、驚異的な連射速度、大量の敵にもかかわらず処理落ちしないなど、プログラム的にはなかなかなすごいものだというのがわかるんですが、しかしいかんせん外見的な見た目は地味なのできびしい。
また音楽も電子音バリバリな一昔前のレベル。 曲そのものはゲームミュージックらしいものがそろっててなかなかナイスでよさげな感じなんですが、しかしMIDIやPCMによる綺麗な音を持つゲームが数多く登場していたこの時期に、そもそも音そのものがいかにも電子音で安っぽく聞こえたのがこれまたきびしいものでした。
システムこそかなりすばらしいものの、とにかくアーケードゲームには重要な一目をひきつける要素であるグラフィックとサウンドが地味地味すぎたせいか、目に止まる事が少なかったように思えます。
また、ゲームそのもの以外にも、時期的にシューティングゲーム冬の時代だったのもこのゲームがあまり日の目を見ることのなかった原因の一つだったかもしれません。
この頃はシューターの目が肥えていたせいか、シューティングのインフレ化傾向が進んでて、『グラディウスIII』や『R-TYPE2』、『ダライアスII』など、メジャーなシューティングゲームの難易度高騰が目立ってました。
それこそ初心者お断りなレベルになってたもので、シューティングから離れていくプレイヤーも少なくありませんでした。
そんな時期だったせいもあってか、シューティングゲームの中でも比較的地味だったこのゲームは、マイナーなタイトルの一つとして、家庭用に移植される事もなく、そのまま埋もれるように消えていったんじゃないかと思います。
メーカーも良作を作ってるUPLとはいえ、どちらかといえばメジャーとは言いがたい存在でしたし、その後UPLは倒産してしまったし…。
なんともはや、残念というかなんというか。
ボスのコアに最強パワー最低射程アイアンで挑む。 どうやって近づけばいいんじゃい。 ボス戦。 CDらしき物体を飛ばして攻撃してきます。 弾幕がきびしいぞ オールクラッシュ使用! 大量に表示される10倍の文字が美しい

 でもやってみると面白いゲームだぞ
しかしながら、いくらゲームそのものがヒットしなかったからといっても、これまでさんざんこのゲームの魅力を説明したように、内容そのものは非常に面白く、かつやりがい満点の楽しいゲームです。
いや実際、これがもしシューティング全盛期や、もしくは格闘ゲームが下火になりシューティングが息を吹き返してきた時代に出ていたとしたら、もしかしたらかなりヒットしていたかもしれません。
アイデアがまったくもってすばらしいし、そして何よりシューター心をくすぐる熱くかつやりがいありすぎな点数稼ぎ要素がある。
今プレイしてもその内容は相変わらず色あせることなく熱く、楽しい。
上記のように不満点も少なくなくつくりが若干荒いので不朽の名作とはいえないけれど、しかし改良すればものすごく良いゲームになる可能性を秘めた、ダイヤモンドの原石のような、そんな魅力を発揮していたゲーム。
惜しいというか、残念というか、とにかく不憫な惜しい一作だったといえます。
コアと決戦。 その横で10倍の文字がデカデカと ワイドショットは横に広がるけど、威力がないので使えない 戦艦内部に侵入。 さすがに攻撃は熾烈を極めます

 オメガファイターと私
このゲーム、寝屋川市のジャンボというゲームセンターにおかれていたのをよくプレイしていました。
実は、元々スコアアタックにそれほど興味を示さない私ですらも、それなりにやり込んでしまったゲームだったりします。
表示されるスコアが上昇していくのにはそれほど感慨はなくとも、敵を倒したときに表示されるx10の表示とそのグラデーションが妙に爽快で、それを出現させるためにめったやたらに敵に接近してプレイしていたものです。 普通のスコアアタックとは違うけど、ある意味、これもスコアアタックかもしれませんな。
んで、当然、そんなプレイばかりしていたわけですから、死亡率が激高だったのは必然。
4面や5面にいけることなど珍しいくらいで、大抵は3面や2面で全滅するのがほとんどで、時には1面で全滅する事も。
このゲーム、後半は極悪なれど、3面くらいまでならそれほど難易度が高いわけではないので、普通にプレイすれば全滅する事なんて珍しいくらいなんですが、やっぱりというかなんというか、私はx10がほしくてど〜してもムリしたプレイになってしまいがちだったんですよね。
何もムリして10倍取らなくとも普通にプレイすればかなり先まで進めるやん…と思って普通にプレイしようとしても、気がつけばいつの間にやらムチャな10倍狙いに…。
そしてあっという間にゲームオーバー。
わりとハマってたせいもあってか、毎回3面前後という早い段階で死ぬ割に、必要以上にお金をつぎ込んでたものです。
いまから思い返せば、高倍率を狙うつもりがないのについつい狙ってしまうように出来てる当たり、このゲームのシステムは、まったくもって、うまいというか、巧みというか、やるなあと思いますねえ。
いやむしろ、あの頃の私が学習能力がなくアホだったというべきか。
マザーコンピュータ目前。 敵も必死だ メインターゲットはマザーコンピュータ。 破壊して戦艦を撃沈せよ! いよいよマザーコンピュータとの戦い。 攻撃が激しく硬い上に復活砲台があるのでとてつもなくキビシイ!でも負けない!


 小ネタいくつか

その1 シークレットボーナス
ショットを一発も撃たずに、敵を一機も倒さずにステージクリアすると、100万点ボーナスが入るという隠し要素があります。
しかし敵の攻撃が激しいこのゲームでは、ほとんどムリに近いです。
一面ならまだ何とかできそうだけど…。

その2 倍率ボーナスシステムの秘密
このゲームの倍率ボーナスシステムは、前述したように『敵を近くで破壊すれば高倍率』となっていますが、厳密に言うと『Y軸がプレイヤーに近いほど高倍率』となっていたりします。
そのため、倍率ボーナスが適用されるのは、実質的にはY座標、つまり縦座標のみとなってるわけで、横の座標であるX座標については一切考慮されていません。
したがって、X座標に関してはプレイヤーからどれだけ距離が広がってても問題ないという。
そのため、Y座標さえプレイヤーと近ければ、大きく広がったワイドショットで側面の少し離れた敵を破壊しても、高倍率が取れるようになってます。
ちなみに、Y座標は画面上部からプレイヤーまでの距離で計算されており、オールクラッシュを使ってもわかるように、プレイヤーより下側にいる敵は全て10倍がつくようになっています。

その3 プレイヤーの爆発で攻撃
このゲームは、雷電などのように、プレイヤーの爆発そのものも攻撃判定を持っています。
オマケにその爆発の威力がかなり大きいためか、プレイヤーがミスして大爆発したときは、ボスクラスですら倒せるほど強力だったりします。
そしてその際にも倍率ボーナスは適用されるので、それを利用して、確実に10倍を取るために体当たりでボスを倒そうとしたりすることも可能だったりします。 残機は減りますが。

その4 パワーアップアイテムのバグ
このゲームにはいくつかバグがありますが、私の知ってる範囲では、このパワーアップアイテムのバグを見かけました。
はっきりとした法則はわからないんですが、とにかくパワーアップアイテムを取ったときに通常とは異なる変化がおきる事がままありました。
覚えてる限りで言えば、アイアンからワイドに変更したときいきなり最強ワイドになる(普通は、武器変更すると最弱状態になる)ものや、ワイド最弱状態からアイテム一つ取っただけでからいきなり最強パワーアップ状態になるなど。

その5 スペシャルモード
これは私もゲーム雑誌でしか知ったことなんですが、オメガファイターには通常のとは異なる『スペシャルモード』なるバージョンがありました。
実際に比べた事はないので細かくは知らないんですが、話によるとスペシャルバージョンは通常よりも矢印ゲージが上がりやすくなってたり、オリジナルでは不可能だったコンティニューが追加されてたりしていたため、非常にプレイしやすくなっているらしいですね。
ゲームオーバー。 無常にも地球は戦艦の総攻撃にさらされることとなった・・・・。 でもいちいちびっくりマークつけるなよな エンディング。 戦艦を撃沈して戦いは終わった… と思ったらその後方には今倒したのと同じ戦艦の軍団が……。 

2004年6月27日


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