偉大なるマルチメディアの先駆者。 グレーなボディがイカス!

FM-TOWNS

富士通 パーソナルコンピュータ


今ではもう知ってる人はそんなに多くないでしょう。
FM-TOWNSとは、コンピュータメーカーである富士通が社運を賭けて1989年に発売した(らしい)、世界で初めてCD-ROMドライブを標準搭載したパーソナルコンピュータです。
マルチメディア』という言葉は一度は聞いた事があるでしょう。
何を隠そうこの言葉を最初に大々的にアピールし、世間に流行らせたパソコンこそが、このFM-TOWNSなのです。


当時、NECのPC9801シリーズというパソコンが日本国内では圧倒的なシェア誇っていた時代。
そんなNECの独占市場とも言うべき時代に、新たなシェアを開くべく一石を投じたこのパソコンは、当時まだ16ビット機が一般的だった頃にすでに32ビットCPUを完全採用し、その他の機能もFM6チャンネルとPCM8チャンネルの音源最高32768色表示(1677万色中256色表示可能モードもあり)可能で1024個の(擬似)スプライトを同時処理といったグラフィック能力など、当時としてはすさまじいほどの驚異的なスペックを持って誕生しました。


このパソコンは特にマルチメディア関連に積極的に進出し、大容量のCD-ROMを活かした色々なデータベースやソフト、GUIを採用しMS-DOSに比べてファイル構成や操作などが非常に分かりやすいTOWNS標準OSの『TOWNS OS』、今でいうWEBページのような感覚で色々なコンテンツを作成できる『TOWNS GEAR』、今でいうMPEGのような動画再生プログラムの『DAPS』、多数の教育関連ソフト群、新たなるジャンルを開拓したといえるエデュケーションソフト『EMIT』、ユーザーの製作したプログラムをCD-ROMに収録したフリーソフトウェアコレクションなど、非常に斬新的なコンテンツが多数リリースされました。
今でこそマルチメディアという言葉は当たり前(すでに死語?)のように使われていますが、その土台を作ったのはこのFM-TOWNSというパソコンであるといっても決して過言ではないでしょう。


そんな鳴り物入りで発売されたTOWNSは、その後数年間順調にシェアを伸ばしつづけていましたが、1990年代前半機からWindows(3.1)のブームが到来し、パソコン業界がPC/AT互換機へとシフトしていくにつれ、次第に影が薄くなっていきました。
また、開発元の富士通も、FM-TOWNSよりもFM-Vの方が売上が好調だったらしいのか、おのずとPC/AT互換機であるFM-Vシリーズの方に力を注ぎ始め、1995〜1996年頃に発売したPC/AT互換機とFM-TOWNSの両方を搭載した画期的マシンともいえるモデル、FMV-TOWNSを最後に、TOWNSの新モデルは発売されなくなり、TOWNSの時代は終わりとなりました。
今では残念ながらもTOWNSの市場は消えてしまったといわざるをえませんが、このパソコンの残した功績と偉業はかなり大きいものだと思います。
なぜかというと、今でもインターネット上ではTOWNSを愛してやまないユーザーが多数存在し、エミュレータやTOWNS用プログラム、フリーのゲームなども多数製作されています。
ところでこれは余談ですが、FM-TOWNSにはスタンダードモデル以外にもいくつかバリエーションがあり、ディスプレイと本体が一体型になったUXシリーズ、今でいうプレイステーション2が目指しているような情報家電としての地位を確立しようと作られた小型版TOWNSともいえるMARTYなどがあります。
ちなみにMARTYはその中途半端な値段と性能から、やはりぴゅう太やゲームパソコン(M5)といった昔の化石ハードのような末路をたどったようです。


さて、FM-TOWNSはマルチメディアパソコンと名乗っているだけあって、色々なゲームも発売されています。
さすがにマルチメディアパソコンと名うっているだけあってゲーム方面にもわりと気を利かせたようで、昔のぴゅう太やゲームパソコン、SG‐1000などのようにスペック的に中途半端だったという事はなく、当時のファミコン、PCエンジン、メガドライブなどの家庭用ゲーム機よりも遥かに優れたスペックを持っていました。
なので、オリジナル作品やアーケードからの移植、PC9801用ソフトからの移植、18禁ゲー、海外産のゲームなど、ジャンルが非常にバラエティに富んでいました。
特に移植作品に関しては、TOWNS用にバランスのアレンジグラフィックや音楽などのパワーアップが施されているものも数多くあり、オリジナルよりもはるかにいい出来になっていたものも沢山ありました。
私も結構な数のソフトをプレイしましたが、その中には名作といっても決して過言ではないモノもありますね。
ただ、ここで少々思うんですが、このTOWNS、ビジネスではなくホームパソコンとして楽しむように設計されたんですが、そのわりにはゲームの分野では家族みんなで遊べるようなゲームではなく、なんだかマニアックな、それこそゲーマー受けするようなゲームばかりが数多くリリースされたのがちょっとした謎だったりします。
なんででしょうかねえ。


ちなみに私が購入したのは2代目モデルに当たる『FM-TOWNS 20F』。
この後、『TOWNS II』や『TOWNS II HR』などといったハイスペックモデルが出て来るのをうやらましさを込めた目で見ながら、パソコン業界のモデルチェンジの早さを痛感したものです。

2000年8月28日


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