インスタントリプレイこそがこのゲームの真髄である
コース全容。右下の1回転してる道路に注目(笑)


Hard Drivin'

アタリ アーケード


Hard Drivin'(ハードドライビング)は、1988年に登場した、アタリ社によるドライブゲームです。
国が違えば分化も違うとはよくいいますが、それはゲームにおいても言える事で、海外のゲームは日本のゲームとはかなり異なる独特の雰囲気を持っているものです。
当然このゲームもそれに当てはまるもので、レースゲームは数多くあった当時の中でも、ハードドライビングは一際目立つ個性的な存在でした。


まず、このゲームはリアルタイム3Dポリゴン表示による画面描画を実現していたというのが、他のゲームとは異なる大きな特徴でした。
今でこそリアルタイムでポリゴン表示なんて当たり前であり、そして綺麗なテクスチャや派手な特殊効果なども当然の如く使われてまくっていますが、しかし1988年当時といえば、まだまだ2Dのグラフィックス、もしくはそれを利用した擬似3Dグラフィックスが主流であり、ポリゴンなんて大抵のゲーマーにとっては『何それ?』状態。
ましてやリアルタイムポリゴンを使用したアーケードゲームなんて、それこそ本当にごく一部の作品だけでした。
さらに当時のポリゴンといえば、テクスチャーマッピングを使える程のレベルではなく、当然ポリゴンの表面は単色。
この2Dのゲームとはまるで違ったのっぺりしたダンボール工作のようなオブジェクトが建ち並ぶ画面は、それだけで一際目立つ存在でした。
確かリアルタイムポリゴンを使用したアーケードって、『ウイニングラン』シリーズが最初でしたっけ。 ワイヤーフレームを使用したモノはその前から結構あったみたいですけど。
まあそんなわけですから、『ウイニングラン』シリーズがインパクト大だったように、このゲームも当時にしては見た目からしてかなりの個性を醸し出していたゲームの1つだったと思います。
無味乾燥なポリゴン画面。 当時の3D表示といえばこんなレベルだったんだよなあ。

このゲームが個性的だったのは、もちろん前述したリアルタイムポリゴンを使用したものめずらしい画面だからというのもありましたが、しかしそれと同時に、当時のドライブゲームにしては非常に珍しくリアルさを追求していたゲーム性を持っていたからだと思います。
ゲームのルールこそ制限時間内に特定のチェックポイントを通過しなければならないと、通常のドライブゲームと基本的に同じなのですが、しかしそれ以外の面では、このゲームはかなり他のゲームとは異なる、リアリティのある内容でした。
当時、ほとんどのドライブゲームの操作デバイスはハンドル、シフトレバー、アクセル、ブレーキのみとシンプルに構成されていたんですが、しかしこのゲームはそれに加えてエンジン始動キー、そしてクラッチまでもがついているという本格派。
もちろんゲーム開始時にはキーを回してエンジンを点火する必要あり。
このように、操作系統ひとつ取ってもかなり本格的で、ある意味ドライブゲームというよりドライブシミュレーションといえるような内容でした。
ゲーム内容もかなり本格的で、速く走るというより、いかにコースアウトしないように、そして事故を起こさず安全に走るかという比重の方がより強いものでした。
なので当時、慣れるまではかなり難しいゲームであり、最初は『なんかやたら難しくてあんまり面白くないなあ』というような感想だったんですが、しかしながら慣れると『車を走らせている』という気分がよく味わえて、なかなか楽しかったんですよね。


ちなみにこのゲーム、車の挙動がやたらに本格派なモノの割に、サーキットになぜかジェットコースターばりの回転道路やジャンプ台といった、やたらにアクロバチックな仕掛けがあったというのがスゴかったですな。
なまじリアル系の内容なだけに、余計にそのギャップが激しかったものです。
まあこれはこれで楽しかったですけど。
ここらへんは日本のゲームでは真似できない、いい意味での洋ゲーらしさ、というものなんですかね。


さて、このゲームは上で書いたように車の挙動がリアルな非常にシミュレーション色(アクロバチックなコースに関しては除外)の強いドライブゲームだったわけですが、しかし私としてはそういうシミュレーション的な部分よりもより魅力的な要素があったんですよね。
それは、ミスした時のインスタントリプレイ
おそらく、私を含めてこのゲームをプレイしていた人の大半はこのインスタントリプレイが楽しくて遊んでたんじゃないでしょうか。
というのも、このゲームではプレイヤーがミスすると、そのミスしたシーンが別の視点から再生されます。 今のゲームでいうなら、プレイヤーのプレイを再現してくれるリプレイ機能と同じものですか。
がしかし、このゲームで面白いのは、事故を起こした瞬間というのがリプレイされるということ。
これって今のドライブゲームから見ても結構珍しいのではないでしょうか。 プレイヤーがミスした時のみリプレイシーンが流れるというのは。
しかもそのインスタントリプレイシーンで流れる音楽が妙にシリアスで、どことなく自動車教習所で見せられる事故シーンのビデオという感じでした。
まあ、普通に考えた場合、このシーンを見て、なぜ事故を起こしてしまったのかというのを知り、次のプレイへの教訓へとするわけなんですが、しかしそんなのは大抵最初の頃だけ。
私の周りではよく、いかに変なシーンやスゴイシーン、笑えるシーンを作るということに尽力したものです。
例として、最高速で民家に突っ込む、牛に体当たりする、ジェットコースター式の回転道路で速度を落として墜落する、ジャンプ台から見当違いの方向にジャンプして地面に激突する、トラックに正面から突進する、など、まるでハリウッド映画のような派手な車破壊のシーンの数々
はっきりいって私の場合、このゲームに慣れてくると、まじめに走るというより、いかにインパクトがあって面白い事故シーンを作れるかという事ばかり挑戦し、全力を注いでいました。
当時、車の事故といった衝撃的なシーンを収集した『ザ・ショックス』という映像ビデオがありましたが、このゲームはそんなシーンを自ら作れるという、大変貴重なゲームでした。
というか、実際私はこのゲームを『ザ・ショックスゲーム』と呼んでましたし(笑)
衝突する瞬間のインスタントリプレイ。 下に続く。

このゲームは通常のドライブシミュレータとしても面白かったんですが、それと同時にこのインスタントリプレイの存在のおかげでかなり楽しく遊べたゲームでしたね。
そうそう、そういえばタイトル画面の『INSERT COIN』が『コインいっこ入れる』と、確かに間違ってないけど、なんかちょっと違うぞ!?といいたくなる妙な訳になっていたというのが印象に残ってますね。
というか、こんな部分を訳す必要ないんじゃ……。

2001年11月7日
爆発、炎上。 妙にシリアスな音楽が別の意味で気分を盛り上げてくれます。


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