ゲーム史上屈指のホラーでダークな雰囲気を持つゲーム
タイトル画面。バックの顔怖すぎ。


邪聖剣ネクロマンサー

ハドソン PCエンジン


 −あらすじ−
かつて、神の世界と、悪魔の世界ががありました。
神と悪魔は常に戦い続け、その戦の炎は何千年もの間、消える事がありませんでした。
神は、やがて悪魔のように、戦うための武器を作りました。
それが、邪聖剣ネクロマンサー……。

武器を持った神は、悪魔との戦いに勝利を収め、神の世界と悪魔の世界の間に、もう1つの世界を作りました。
そして、自分たちの世界を『天界』、悪魔の世界を『魔空界』と名付けました。
その間にあるのが、『地上界』。
今、あなた方が住んでいる世界です。

地上界のイシュメリア王国。
ある日、このイシュメリアの大地に、恐ろしい魔物が現れ、残虐の限りを尽くすようになりました。
そしてとうとうイシュメリア王国の王までもが魔物達の犠牲に……。
しかし、イシュメリア王は、亡くなる前にこう言いました。
『われわれに残された最後の望み、それはネクロマンサーだ!』と。
かつて、天空の神が悪魔との戦いで使ったという伝説の剣が、このイシュメリアのどこかに封印され、今でも眠っているという。
イシュメリア王に仕えていたギムルの話を聞いたあなたは、その剣を探し出し、魔物を討伐するための旅に出ることを決意しました。
2人の仲間と共に。




『邪聖剣ネクロマンサー』は、1988年1月に登場した、PCエンジン初のRPGです。
当時、ファミコンではドラゴンクエストIIとIIIの大ブレイクにより、RPGが人気のジャンルとなりつつあり、そのためPCエンジン初のRPGとして鳴り物入りで登場した邪聖剣ネクロマンサーは、かなり注目されていたタイトルでした。
テレビでもCMをやっていて、その時の『夜、一人でやらないでください』というキャッチフレーズは非常に有名です。
私もPCエンジンを持っていたし、また話題性も十分だったので、中古で購入しプレイし、ハマりました。
このとき、いいえを選んでも問答無用で旅に出させられます

ゲームは非常にオーソドックスなコマンド選択型RPGで、基本的にドラクエタイプのモノを踏襲しているので、特に複雑なシステムなどはなく、このシリーズをやった事のある人ならばすぐに慣れる事が出来ます。
ゲームの最終目的も『ネクロマンサーを探し出し魔物の王を倒す事』と非常にシンプルです。
もちろん、途中にはいくつものイベントがありますが、しかし基本的には戦闘の繰り返しによりキャラを成長させ、魔王の大陸を目指すというのが主な路線なので、迷う事はほとんどありません。
グラフィックはさすがPCエンジンなだけの事はあり、当時主流だったファミコンの画面とは一線を画す綺麗さだったのが強烈な印象度でしたね。
そしてそのグラフィックもただ単に綺麗なだけではなく、それまでのゲームでは見られなかったリアルなタッチで描かれており、それがこのゲームの印象をさらに強めていました。
また、戦闘中のモンスターは全てアニメーションで表示されているというのが凄い。
当時にしてはモンスターがアニメーションで表示されるというのは非常に珍しく、これもさらにこのネクロマンサーの印象を強める要素となっていました。
ちなみに戦闘中、剣で攻撃すれば『きりかかった』、槍で攻撃すれば『つきかかった』、素手なら『なぐりかかった』など、自分の持っている武器によりメッセージが少し替わるというなかなか細かい演出もありました。


今思い返して見ると、このゲームの最大の特徴はゲーム全体に漂うハードな雰囲気ではないかと思いますね。
ここでいうハードというのは、ゲームの世界観やシステムなどから感じられる、ダークというか、シビアというか、暗いというか、とにかく平和的なものではなく、どうにも恐ろしげな雰囲気が感じられる、という事です。
グラフィックはリアルタッチで描かれていて、キャラは8頭身。
そしてモンスターのデザインもかわいいといったモノなど皆無で、全てリアルでグロテスク。 内臓がはみ出しているたりブツブツがいっぱいな敵など、他のゲームではまず見られないような気持ち悪い奴等がわんさかとあふれています。
また、パッケージのデザインも凄いもので、エイリアンのデザインで有名なH・R・ギーガーの描くネクロマンサーのイラストは、正に悪夢そのもの。 ゲーム史上屈指の不気味なパッケージイラストと思われます。
また、ゲーム中の舞台、フィールドマップ、洞窟、音楽、クトゥルー神話を元にしたモンスターといった設定もお世辞にも明るいとは言えないものであり、したがってゲーム全体がとてもダークで不気味といった印象を与えるものになっていました。
ドラクエなどはそのデフォルメされたキャラクターと多くのかわいいモンスターがいるので、なんとなくこういった世界に行ってみたいなーなど、ちょっとあこがれたりする事もあるのでしょうが、しかしこのゲームは前述したような不気味な世界観だったので、まるで行きたいというような気になれません。
つまり、ホラー映画っぽい暗さが漂っているんですよね、全般的に。
こういった雰囲気は好き嫌いがわかれると思われますが、しかし今までにない世界観を構築したRPGという面では、十分に成功しているのではないでしょうか。
実際こういう恐ろしげな雰囲気のRPGって珍しいと思いますし。
洞窟。明かりを使ってもこれしか見えないので、不気味さ満点。


さて、この邪聖剣ネクロマンサー、世間的にはクソゲー扱いされているときもあるし、また別の方面では非常に思い出深いゲーム、心に残る名作、という評価もあるようです。
言うなれば、両極端な評価が多いんですよね。
というわけで、次からはなぜこのゲームの評価がこうも極端に分かれてしまうのかという事を、このゲームならではの特徴をピックアップして語ってみようかと思います。


まずこのゲームは、シナリオが非常にシンプル
上でも説明しましたが、このゲームの最終目的はネクロマンサーという剣を発見し、魔物の王を倒す事です。
途中、いくつか小さなイベントがありますが、しかしそれらはあくまでネクロマンサーを探すという目的の途中経過であり、途中でストーリーの本筋から外れるようなサブイベントなどはなく、基本的に展開は完全な一本道。
ゲームの途中であっと驚くような大どんでん返しがあるわけでもなく、また難解な物語の展開といったものもまったくありません。
シナリオはあくまでおまけ程度な存在というわけです。
ウィザードリィとかがこのタイプですね。
つまり、このゲームでは、プレイヤーは終始ストーリーに振り回される事なく、思う存分その世界の中で主人公達になりきって、戦って、倒して、勝って、成長させるという楽しみを味わえるゲームであるわけです。
ただ、これは裏を返せばシナリオが薄っぺらで、ストーリー的に盛りあがりが無く、面白みのない物語のゲームだともいえるわけですけど。
まあ、これに関しては一長一短といえるものであるわけですね。
ネクロマンサーの祝福シーン。このゲームのハイライトです。

邪聖剣ネクロマンサーの戦闘シーンは非常に簡素でスピーディです。
このゲームの戦闘は戦う、逃げる、魔法といった基本的かつ分かりやすいコマンドだけで構成されていて、特殊な攻撃や必殺技といったものはありません。 また、戦闘の演出も必要最低限に押さえられていて、例えば武器攻撃だと武器のバシュッという音だけ、魔法だと1秒程度のフラッシュだけというシンプルさ。
すなわち、戦闘において冗長になりがちな過剰な演出などはまったくないので、終始戦闘は快適といえるほどスピーディーに展開されます。
そのため、一回一回の戦闘を行うのがそれほど苦にならず、結果経験値稼ぎもスムースに進める事が出来ます。
ただ、戦闘が軽快かつシンプルに進むという事は、言い方を替えれば、戦闘による戦略性というものがそれほど深くないともいえます。 すなわち、戦闘のシステムが単純なのであまり深く戦略を練る必要はなく、一回一回の戦闘がともすれば鬱陶しくなるということです。
また、戦闘が軽快かつスピーディーという事は、それはシナリオがシンプルなこのゲームの総プレイ時間中に行う戦闘回数が非常に多くなるという意味であり、いうなればシナリオの単純さを戦闘回数の多さで間に合わせようとしている事、とも言えます。
つまり、悪く言えば単純であまり楽しくない戦闘による経験値稼ぎの比率が大きいということであり、そしてそういった単純な戦闘にかなりの時間を費やさねばならない、と言う事です。
この戦闘を『シンプルで軽快、無駄な要素がない戦闘』というか、それとも『単純過ぎて張り合いがない、戦略性も深くないつまらない戦闘』というかは、プレイヤーによる所が大きいでしょう。
こういう戦闘システムが悪いかどうかという最終的な結論は、プレイヤーの好みによって決まると言う事ですね。
地道な経験値稼ぎが好きな人にはたまらないだろうし、しかし戦闘そのものの戦略性に面白さを見出している人にとってはつまらなく映るでしょう。
クマがちょっとかわいい(?)。でも強いです。

このゲームらしい所といえば、モンスターを倒すと血飛沫が上がるという事。
敵を倒すと『ブシャアッ!』という効果音と共に血が飛びます。
今でもかなり珍しく斬新なのではないでしょうか、敵を倒すと血飛沫が飛び散るRPGなんて。
まあ、今のグラフィックの水準から見るとそんな大したグラフィックではないし、生物だろうが植物だろうが全て赤い血が出るのも変でありますし、また血が出たからどうしたという意見もあるかもしれませんが、しかし倒した敵から血飛沫が噴き出すというこの演出自体が、このゲームの雰囲気のおどろおどろしさをだしている、つまり不気味さを強調するのに一役買っている、とも言えるわけですね。 
出た!このゲーム屈指の名シーン、飛び散る血飛沫!

邪聖剣ネクロマンサーの戦闘、特に肉弾戦では、『すばやさ』が非常に重要なのが要素となっています
このタイプのRPGでは、基本的に『すばやさ』の値が高いものから攻撃するようになっています。
もちろん邪聖剣ネクロマンサーも『すばやさ』の値の高いものから先に攻撃できるのですが、しかしこのゲームではそれだけでなく、攻撃対象との『すばやさ』の差が大きいと、複数回攻撃が可能となっている、という特徴があります。
しかもこの法則はプレイヤーキャラが敵を攻撃するときだけでなく、敵がプレイヤーを攻撃する時にも適用されます。
つまり、『すばやさ』が高いキャラは敵に対して2回、3回と連続で攻撃を繰り出す事が出来、また逆に『すばやさ』が低いキャラは敵から連続で攻撃を喰らう可能性が高いという事です。
また、『すばやさ』は直接攻撃の当たる確率にも関係しており、『すばやさ』の低いキャラは攻撃を外す確率が高くなっています
したがって、このゲームにおける『すばやさ』の値はかなり重要であり、特に強い敵と戦う時などは命取りにもなりかねない要素というわけです。
スタート直後。最初の敵が臓物飛び出てる奴なんて、このゲームくらいでしょう。

邪聖剣ネクロマンサーでは、キャラの選択が非常に重要です。
パーティーは主人公を含めて3人構成で、プレイヤーはゲームスタート直後に彼らの中から2人を選びます。
キャラはライム、カオス、バロン、マイスト、ロミナ、の5人で、それぞれの能力は一長一短となっています。

 ライム
容姿端麗でなおかつ頭脳明晰な魔術師。
攻撃魔法に秀でていて、強力無比な攻撃魔法を数多く使いこなし、また回復魔法もある程度使用可。
肉弾戦はほとんど出来ず、武器も大したモノが持てないので、直接攻撃はバーンの杖(魔法攻撃が可能な杖)を使う以外はまるで期待できませんが、しかし肉弾戦の弱さを補って余りあるほど彼女の魔法は強力であり、しかも回復魔法もある程度使えるので、ぶっちゃけたハナシ、5人の中では最も使えるキャラです。
彼女を入れるだけで、戦いがかなり楽になる事は間違いなし、と言えるくらいです。
ただ、魔法に頼る分MPの消費量も大きく、MP切れになるとただのお荷物になってしまう、という欠点もありますが。

 カオス
ライムと同様、魔法を数多く使いこなす魔術師。
『私がいればなかなか死なないぞ』と言う彼は、防御、補助、回復魔法のスペシャリストであり、彼といれば長旅がしやすくなります。
肉弾戦にはほとんど期待できないという面においてはライムと同様ですが、しかしライムと違い彼は攻撃魔法をほとんど使えないので、攻撃手段はバーンの杖を使う以外はほとんどナシという、戦闘補助要員としては有能だが攻撃要員としてはおおよそ無能なキャラです。
また、ライムに比べてカオスはすばやさの値がかなり低いので、『敵の攻撃を複数回喰らう&その攻撃を味方に流す』事が多く、また攻撃の順番も後の方なので、敵の攻撃によってすでに死亡した仲間に回復や防御魔法をかける、ということをしばしば起こしてしまうのが欠点。
総合的には、少々使いづらいキャラですね。

 バロン
自称『天下無敵の怪力男』。
魔法はまったく使えないが、しかしそれを補うほどの怪力が彼のウリ。
ほとんどの武器、防具を装備でき、強力無比な彼の力はほとんどの敵を軽く粉砕します。 またHPも高いので、肉弾戦において彼に勝るものはいないでしょう。
しかし、すばやさの値が恐ろしいまでに低く、攻撃がかわされる事あまりに多し。
ひどい時などは、戦闘開始から終了までずっと空振りしっぱなしということも。
別名『空振りマスター』。
また、その脅威的なすばやさの低さのおかげでカオス以上に敵の攻撃を複数回喰らう事が多く、その攻撃を味方にも流しまくるという余計な特技を持っています。

 マイスト
自称『疾風(はやて)のマイスト』。
さすがに自称するだけあって、彼のすばやさは相当なものです。
敵の攻撃をかわしまくり、そして複数回攻撃。 さらに魔法もある程度使えるという、正に多機能なキャラといえるでしょう。
またすばやいため逃げるのも容易で、いやな戦闘を脱却しまくる、敵から逃げまくりながら次の町に到達するもしくは洞窟を探索する、という特技も持っています。
ただ、力は魔術師より少し高い程度なので、あまり重い武器は装備できない、攻撃を複数回当てても大した威力にならない、有用な武器があれば強いがなければただの一般人、また魔法もMPが少ない上に使える種類も豊富でないので魔術師としては中途半端、という欠点があります。
はりていにいえば、素早さ以外は今一つな能力なので、攻撃要因としてはそれほど役に立たないという事です。
このため、攻撃はほとんどバーンの杖頼りとなる場合が多く、全般的にはキツイキャラです。

 ロミナ
『私は何のとりえもありませんけど、何かのお役に立てたら、と思って』と、とても健気なセリフを言う彼女は、本当に何もとりえがないキャラです。
ただ、女性はライムと彼女しかいないので、両手に華なパーティーを実現するには必要なキャラです(笑)。
ロミナの性能は基本的に主人公に似ていて、なんでも出来るが特に突出した部分もない、というキャラです。
しかし、装備に制限がある上に水準的には主人公よりもふたまわりほど下回っているので、肉弾戦は弱い、魔法も弱い、すばやさも特に高くないなど、とにかくゲーム全般通してパーティーでは最も役立たずな『お荷物』となる事必至。
しかし、それは彼女が『遅咲き』タイプ、すなわち後で一気に成長するキャラだからなのです。
ただ、それは終盤の終盤になってやっと花開くという、『遅すぎるほどの遅咲き』なので、このキャラを選んだ人のプレイは非常に辛く苦しいものとなります。
終盤以外は辛い事ばかりなので、相当忍耐力に自身のある人以外はこのキャラを選ぶと後悔すること間違いナシです。

 主人公
あなたです。
全般的な能力はなかなか高いが、しかし突出した部分のない、よく言えば万能型、悪く言えば無個性なキャラです。
ほとんどの武器防具を装備でき、魔法も主人公しか使えないものなどがあるのが特徴。
バロンほど力は強くないので敵を軽々と粉砕、というわけにはいきませんが、バーンの杖や他のキャラのサポートにより敵を倒す事が可能な攻撃力は十分に持っているので、バロンがいないパーティーでは肉弾戦の要となる存在です。
主人公だけが使える魔法の中には大変便利なものがいくつかあるので、時には魔法使いとしても活躍します。 といっても、MPがそれほど高くないので、魔法メインで行くには少々辛いですが。
主人公にはこれといった欠点はなく、全般的にはかなり役立つキャラだといえます。 ただ、これといった特技がないので、ある1つの分野を専門でさせるには辛いキャラでもありますが。

とまあ、どのキャラの性能も個性的すぎるくらい個性的であるわけです。
これらのキャラ達をスタート時に2人選択します。
が、一度パーティーを決定してしまうと、後で変更する事は出来ないので、ここでの選択はとてつもなく重要なのです。
なお、パーティーは3人で編成されるのですが、この3人というのは実はかなり微妙な数字で、これが個性的なキャラ達とあいまって、なかなかベストな組み合わせって見つけづらいんですよね。
物事は、少し物足りないくらいがちょうどいい、とはよくいったもんですね。
何度、『4人でパーティーを組めたら……』と思った事か。
さて、このパーティー編成、最終的には誰を選んでもクリア可能ですが、しかし選択するキャラによってはそのゲーム全般の難易度がガラリと変わるというのが利点であり、欠点でもあります
つまり、良く言えばキャラの個性がそのまま反映されるゲーム展開になり、そしてその個性があるおかげでキャラを成長させるのが楽しめる、早くクリアしたいなら楽なパーティーを選び、チャレンジ精神旺盛なら苦しいパーティーを選ぶ、という楽しみ方が出来ます。
だがしかし、これは悪く言うと、パーティーの組み合わせによってゲームの難易度が理不尽なまでに変化するゲームとなるわけで、知らずに良くない組み合わせを選んでしまうと、ゲーム中は終始辛い戦闘が繰り広げられ、しまいにはプレイを続けるのがイヤになってしまう、という欠点も併せ持っているわけです。
このパーティー編成は、諸刃の剣となるわけですね。
フィールド。右側に見えるのが町です。仲間は、ライム(左)とマイスト(右)です。

このゲームの面白い特徴として、キャラが勝手に逃げるというのがあります。
めったに起こるものではありませんが、無理してやたらに強い敵と戦ったりすると、まれにキャラがプレイヤーのコマンドを無視していきなり逃げ出す事があるんですよね。
まあプレイする側からすれば少々苛立つシーンでもありますが、しかし見方を変えればそのキャラの意外な側面を見た、本当は全滅する戦いだったけど逃げてくれたので結果的に全滅は免れた、という解釈で笑い飛ばすほうがポジティブでよいと思います。
ネクロマンサーを探して右往左往。マイストよそ見してます。

邪聖剣ネクロマンサーの特徴の1つとして、敵の強さの差が激しいという部分があります。
今いる場所では十分戦敵とえるのに、ちょっと先に進むともう歯が立たない、いやむしろダメージを与える事すら出来なくなるのです。
例えば今いる町ではもう十分に強くなったので、次の町に行こうとすると、道中で現れる敵の脅威的な強さに愕然とする。 何とか逃げまくって次の町に辿り着き、そこで有り金はたいて装備を買ったらやっと何とか戦える位のレベルになる、という事が非常に多い。
また、海辺の敵も全般的に強めに設定されているので、海以外の敵には普通にダメージを与えられるのに、海辺の敵にはまるで攻撃が効かない、という事もよくあります。
とにかく敵の強さの桁が違いすぎるので、各所でしっかりとレベルアップをさせ、そして装備を整えておかないと、とてもではないけど先に進む事は出来ないのです。
これは、悪く言ってしまえば敵の強さの落差が大きすぎるということになります。
今いる拠点周囲では最強に近いのに、次の拠点周囲の敵達はそれを上回る強さとなるので、ともすれば今いる拠点ですでに弱い存在となったザコ相手に経験値をチマチマと稼がなければならず、また次の町までは、逃げるようにして辿り着かねばなりません。
こういう状態が行く先々で展開されるので、人によっては途中で投げ出した人もいるほどです。
ただしかし、これは良く言うと、適当にやって適当に戦闘を繰り返していけばおのずと先に進めるようなヌルイRPGとは違い、要所要所でレベルをしっかり上げて、そしてしっかりと装備を整えて、次の拠点では気を引き締めて戦闘を行わないとあっという間に全滅してしまうという、非常に骨太でハードな世界での冒険を味わえるという事です。
また、その厳しい戦闘がグロテスクなモンスター達とあいまって、このゲームの世界の恐ろしさをよりいっそう引き立てている、ともいえます。
さらに、敵の強さの差が激しい分、その敵達と戦えるようになるまで強くなった時には、プレイヤーのキャラが成長しているという事を心底味わう事が出来るというものです。
内臓の敵、というか、そのまんま内臓ですな。こんなの現実にいたら嫌すぎ。

このゲームの移動手段は徒歩のみで、乗り物などはありません
良く言えば徒歩による旅の情緒を味わえるというものですが、しかしやはり乗り物かもしくは遠くまで一瞬で移動できるような便利な移動手段などがあればよかったと思います。
例えばバーンの杖は序盤では結構頼りになるアイテムですが、しかし中盤以降では威力の少なさによりほとんど役に立たなくなるので、途中で捨ててしまう事があります。
しかし終盤の終盤になって急に必要になるので、この場合、終盤地点からわざわざスタート地点の近くまで戻り、そして杖を取ってまた終盤地点まで行くという、別名『地獄の逆戻り』をするハメになります。
キツイ。
まあしかし、徒歩のみの移動手段というのは、逆に考えれば、乗り物を使って世界中隅々まで行きまくって色々なアイテムを捜さなければならないという面倒な展開はなく、基本的にその地域でのイベントをクリアして次の地域に行けばよいという構成なので、探索による謎解きで迷う事はあまりない、という利点がありますが。
道中、ホークという強い勇者の話を何度も耳にしますが、最終的には彼もこんな結果に……。

このゲームでは、1人につきアイテムは8個までしか持てず、また魔法(正確には魔法書)も8個までしか持てないという、所持数の制限があります。 つまり、3人でアイテムを合計24個、魔法を24つ所持できると言う事になります。
しかしこれがなかなか難儀なシステムで、アイテムなどは、クリアに必要不可欠なアイテムや武器、防具の類も含まれるので、いらないアイテムや武器、防具などは片っ端から売ってしまわないと、すぐに所持アイテムが満タンになってしまいます。
また、魔法も8つしか持てないので、使用できる魔法の種類が多いキャラなどは、どの魔法を所持してどの魔法を手放すかというのを良く考える必要があります。
この1人8つというのは思った以上に少なく、ちょっとアイテムを取得するとあっという間に物が持てなくなります。 せめて1人10個は持てるようにして欲しかったですね。
これに関しては、良い方面の解釈というのはあまり浮かびません。 ムリにいうなら、どのアイテムを手放してどのアイテムを持とうかと悩むのが少し楽しいというくらいでしょうか。
木の化け物も、ネクロマンサーだとこんなに無気味になってしまいます。

邪聖剣ネクロマンサーに出てくる武器や防具、魔法には、非常に難解で良く分からない名前がついているものが多数あります
トライデントやソード、アックス、シルド、ミゲルアーマーという風な名前だとまだどんなタイプのモノかというのはある程度理解できますが、しかしシュタールとかトルース、レジール、サクシードといったモノなどは名前からどんなものかというのを知るのは非常に難しく、そのためアイテムの名前と性質を覚えるのに一苦労です。 ちなみにトルースとサクシードとは武器の一種、シュタールとレジールとは鎧の一種です。
さらに魔法にもなると、ライル、エマイカ、グフト、サバリス、スバトフ、イーガスなど、まるでどこかの人名、地名のような名前なので、これらの効果や誰が使えるかというのを覚えるだけでもかなり苦労します。 実際私も終盤近くまで魔法の効果を書いたメモをしょっちゅう見ていましたし。
初期のなので不親切なのはしょうがないかもしれませんが、しかしせめてアイテムに関する簡単な説明くらいはゲーム内についていればよかったんですけどね。 まあマニュアルには載っていましたが。
これに関しては、良く言えばこのゲームらしい個性的な名前、だとも言えるんですが……。
イボイボの付いたタコ。イボのアニメーションが不気味過ぎ。

このゲームには、いくつかの隠し通路や隠し武器があります
ゲームのクリアするのに必要不可欠な洞窟の隠し通路は、特定の人物からヒントをもらえますが、しかしそのヒントが微妙に不親切なので、この隠し通路を見つけるのはかなり苦労する事間違いなしです。
また、このゲームにはいくつかの隠し武器やアイテムがありますが、しかしさすがは昔のゲーム、こちらに関してはヒントなどまるでありません
特にフィールド上に落ちている宝箱(全部で2個。もちろんフィールド上には表示されない)などは、一体何を考えてあんな所に設置したのかまるで見当がつかず、攻略本などを読まずに見つけるなんてほぼ不可能に近いでしょう。
そしてさらに、洞窟の特定の隠し通路の先にある『レジェルダー』という武器は、ネクロマンサーの次に高い攻撃力を持っているので、戦闘を大いに楽にしてくれるモノですが、しかしこれも隠し通路の先にある上に完全にノーヒント
普通にプレイしているならばほぼ確実に見逃す事必死です。
隠しアイテムや隠れキャラ全盛期だった頃のゲームらしいといえばらしいのですが、しかしレジェルダーや宝箱などは、やはりちょっとしたヒントくらいはあってほしかったですね。
洞窟にて。地上よりも強い敵がわんさと出てきます。

このゲームは登場した時期が時期なだけに、『パスワードコンティニュー』方式を採用しています。
これは経験した人ならば分かると思いますが、とにかくめんどくさい!の一言ですね。
おまけに一文字でも間違えると、その瞬間にそのパスワードの存在意義はなくなうというのが怖い。
前回のプレイからかなり進展した状態のパスワードが間違えていたりすると、その瞬間にやる気度半分は萎えてしまうという、ある意味当時のRPGにおける最大の敵でしたね。
というわけで、このゲームのパスワードですが、辛い!
なんといってもパスワードの文字数が50文字以上。
しかもそのパスワードはひらがなだけでなく、カタカナと英文字も採用しているという極悪ぶり。 もう書いている本人ですら何を書いているのか分からなくなるほど超絶難解複雑なパスワードは、多くのプレイヤーを狂気のどん底に陥れました。
かくいう私も、英数とカタカナには下線を引くなどそれなりに注意してパスワードを取っていましたが、それでも3回ほどパスワードを間違えてしまった事があります。
あの時はホントに辛かった。
そんなわけなので、今のゲームではもうこういったパスワード方式は採用されず、ほとんどがメモリーカードやバックアップ方式のデータ保存を使用しています。
ただ、パスワード方式の場合は、紙などに記録しておけばそれこそデータを半永久的に保存でき、またやろうと思えば100や200ものパスワードを残す事も可能、そしてパスワードさえ持っていけば別のソフトでもまったく同じ状態を再現できる、といった利点もあるんですけどね。
ただ、それ以前にパスワードを書き取るという行為自体が非常に辛いので、いまさらパスワードコンティニューを再び採用しようと思っている人などいないでしょうが。
ちなみにこの邪聖剣ネクロマンサーのパスワードコンティニューですが、どうもパスワードの判定プログラムが甘く作られているみたいで、特に考えなしに打った言葉が成功してゲームがとんでもない所から再開される事がよくあります。
これは見方によっては面白いパスワードを探す楽しみがあるとも言えますが、でもどちらかといえば欠点ですね。
あいもかわらず不気味なモンスターばかりで、カワイイとは程遠い世界です。

邪聖剣ネクロマンサーのバックストーリーでは、神が悪魔との戦いに使用した伝説の剣、ネクロマンサーという武器は、あまりにも強力無比な破壊力ゆえ、神々の手によって3つの成敗に分けて封印されたということになっています。
で、ゲームのスゴイ所は、ゲームをプレイしているとホントにこの設定に納得がいくということ。
というのも、ネクロマンサーの武器の攻撃力はなんと500もあります。 店で売っている最も強力な武器であるサクシードの攻撃力が200、そして隠し武器で他のキャラ達のとっての最強の武器であるレジェルダーの攻撃力が300なのを考えると、ネクロマンサーがいかに桁外れな破壊力を持っているかというのがよくわかります。(ちなみに最弱の武器であるクローの攻撃力は2です)
実際封印を解いたネクロマンサーを手に入れると、それまでの戦局は一変。
ほとんどの敵を一撃で葬り去れるので、今まで全力で戦って何とか倒せるたというレベルの敵が、一転してザコキャラに成り下がります。 また、ラスボスとその配下の四天王は、そのあまりの防御力ゆえ、通常の武器ではほとんどダメージにならず、ネクロマンサーでないとまともに攻撃する事は出来ません。
つまり、この脅威的な攻撃力を実際にプレイして体験してみると、ネクロマンサーは本当に恐ろしい破壊力を秘めた剣だというのも合点納得がいくのです。 また、神々がその強力すぎる威力に恐れてこの剣を封印したというのも良く分かるのです。
RPGには強大な力を持った伝説の武器といったものがよく出てきますが、しかしこのゲームほど他の武器とは次元の違う桁外れな威力を持つ武器というのは、ほとんどないんじゃないでしょうか。
そんなわけなので、苦労してこのネクロマンサーを手にいれた時の感動は、筆舌に尽くしがたいものです。
ただでも、これは悪く言うと、ネクロマンサーと他の武器との攻撃力の差が大きすぎて、そのあまりにも高い威力に今まで一生懸命戦ってきたのは何だったのだと脱力する事うけあい、だとも言えますが。
全員最高レベル。経験値が全員同じなのがミソ。

邪聖剣ネクロマンサーの最終目的は魔物の魔王を倒す事と非常にシンプルで、言い替えれば勧善懲悪物語だといえるのですが、しかしこのゲームには他のゲームにはあまりない、全体的に非常にダークで暗い雰囲気を持っています。
そして、それが最も顕著に表れているのが、エンディングなのではないでしょうか。
エンディングは、以下のようになります。
ネタバレです。

魔空王アザトースを倒した主人公は、ネクロマンサーの力を使い、この国を治めてくださいというギムルに対し、こう言った。
人々の欲望と争いを生む恐れのあるネクロマンサーを封印するべきだと。
主人公は、ネクロマンサーを地中深くに埋め、再び旅に出た。
そしてスタッフロール。
スタッフロールが終わると、タイトル画面の顔が出現し、こう言います。

光と闇の戦いは終わり、大地に平和が訪れました。
しかし、勇者が言ったように、人の心に黒い欲望がある限り、争いは決して絶える事はないのです。
神すらも持て余したネクロマンサーを、あなた方人間が上手く扱えますか?
争いを起こさぬ自信がありますか?
ほら、何か音が聞こえますよ。
土を掘り返すような音が……。
(だんだん大きくなる土を掘る音)

THE END


時代が時代なだけに、演出などは幾分チープではありますが、しかし世の中にRPGは数多くあれど、これほどまでに後味の悪いブラックなエンディングは相当珍しいんじゃないでしょうか
また、エンディングが非常にシンプルなので、ネクロマンサーはあの後どうなったのか、神と悪魔の関係は今現在どうなっているのか、神はなぜネクロマンサーを地上界に封印したのか、といった謎が解明されないまま終わってしまいます。
これは、良く解釈すればエンディング後の物語はプレイヤーの想像力にゆだねられていて、自分の好きなように物語を解釈する事が出来ると言えますが、しかし悪く解釈すればえらく中途半端で後はプレイヤーの想像力任せという手抜きなエンディング、だとも言えます。
したがって、このエンディングに関しては非常に評価が分かれやすい所ですね。
最後のダンジョン。そこら中ドラゴンだらけです。


このゲームは以上のような特徴からか、世間的にはクソゲー、もしくは心に残る名作、と両極端な評価になる事が多いです。
ただ、これは言い替えれば、見方1つで最高な評価あるいは最悪な評価を得るという非常に個性的なゲーム、だといえるんじゃないでしょうか。
私の個人の意見としては、邪聖剣ね黒マンサーはRPGとしては荒削りだし決して万人に薦められるようなものではないけど、しかし他のゲームでは見られないダークで恐ろしげな世界観が非常に秀逸なゲームだと思いますね。
またエンディングも意味ありげで妙に気になるので、ぜひともこの世界観を活かした続編などが出て欲しいと思います。
まあでも、その可能性は限りなく低いでしょうが。
でも、続編やってみたいなあ。
ラスボス。よくわからない形態です。足が気持ち悪いです。

ちなみに余談ですが、ここに私の最強レベルパスワードを記しておきます。

Yき にさゆうG N げくエゴ
 らのでC めでぱ りばれま
Gづ ぼぼぱUと いむた ケオPカ
Nてえ Hにぐ Qおる びJウいよ


ネクロマンサーのソフトは持っているけど途中で断念してしまったという方はどうぞ。

2001年8月5日


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