男臭いSNKの真骨頂ともいえる戦争モノシリーズ
雷の咆哮と共に浮かび上がる二人の漢のシルエット。 渋すぎ。 導火線に火をつけ、脱獄開始じゃい! どこから爆弾手に入れたんだとか、そんな位置で爆発させたら巻き込まれるぞなどという突っ込みはやめよう


脱獄

Prisoners of War

SNK アーケード


 ゲームの概要
脱獄は1988年に登場したダブルドラゴンタイプのアクションゲームです(ファイナルファイト系ではない)
タイトルを見りゃ目的謎一目瞭然だとは思いますが、一応ゲームの目的を言っておくなら、『収容所の扉を破り、全4ステージ(+脱出ステージ)での戦いを生き残り、脱獄を成功させる』事です。
なおこのゲーム、あるゲーム雑誌に載っていたファミコン版の紹介記事によると、ストーリーとしては敵の機密を知るためにわざとつかまっただの、味方と落ち合う時刻が近づいたために脱獄を実行しただのといったそれなりに込み入った物語があるみたいなんですが、そこら辺はあんまり良く覚えてないので省略します。
まあ色々考えずとも、アクションゲームにはストーリーは必要ないともいいますし、とにかくタイトルの通り、敵をボカボカ倒しつつ脱獄していけばいいわけです。
それを実現するためにプレイヤーに与えられたものは、己の肉体のみ。
1レバーにパンチ、キック、ジャンプボタンによって数々の技を駆使し、脱獄のために孤独に(時には二人で)戦い抜きます。
まれに道中にてナイフや銃などを入手できたりも。
ちなみに二人同時プレイも出来ます。
アッパー! 車田正美のマンガ並に豪快にのけぞりながら吹っ飛びます。 二人同時プレイも可能だぞ! 力をあわせて仲良く脱獄! フガッとジャンプキック! 不恰好だが威力は高いぞ。 吹っ飛べ!


 男臭さ100%、泥臭さ200%
もうタイトルを見ただけで分かっちいますが、脱獄は非常に男々した、ムサいゲームです。
ゲーム中に美少女キャラもしくは美人な女性キャラがおおよそ一人以上は登場するのが当たり前な昨今のゲームとは違い、この頃のアーケードゲームはというと、非常に男臭い雰囲気のゲームが多数排出されていました。
その中でも特に男度が高かったのが、ミリタリー系のゲーム。
今でこそ軍隊系のゲームにて女性戦士や女性キャラ(科学者などの位置づけで)などが登場するのはさほど珍しくありません…というかほぼ当たり前に近くなっちゃってますが、この頃の軍隊系ゲームといえばこれでもかというくらい100%野郎オンリーな内容でした。
SNKの一連の軍隊モノシリーズなどは正にその真骨頂ともいえるべきモノで、怒シリーズ、航空騎兵物語、ゲバラ、SAR、など、『ドキッ!男だらけの水泳大会』というキャッチコピーでもつけたくなるほど渋い男度MAXなゲームを数多く排出していました。
そして、この脱獄もそんな中の一つです。
当時の硬派なSNKらしさがイヤというほど、いや、イヤになるくらい炸裂しています。
大体にしてタイトルが『脱獄』、そして収容所を脱獄するという内容あたりからしてもうそれらしさプンプンなものですが、それ以外の面でもタイトルに負けず劣らず恐ろしいまでに暑苦しいです。
そりゃもう筆舌に尽くしがたいほど。
グラフィックは薄暗く、きたなく汚れたような泥臭いタッチ。
一目見ただけでもう、『ああ、男くさいゲームなんだな』とわかってしまうほどです。
当然、登場するキャラはみないかつい軍人。
女なんて一人も出てきやしない。
そもそも主人公からして、映画『プラトーン』あたりに出てきそうなゴッツイ顔した軍服野郎。
やられたときの叫び声なんか野太く『うあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ーーーーっっっ!!!』てなもんです。
敵キャラももちろんみな暑苦しいゴツい軍人ばかりで、スマートなカッコよさなんてこれっぽっちもありゃしない。
あるのは、ムサくるしい体育会系な男ムードオンリー。
そんな野郎どもが、独房の扉を爆破した瞬間からこれでもかというほど出現し、不恰好だけど重い打撃で主人公達とドガドガと殴り合い、派手に豪快に吹っ飛びまくる。
しかもそんな敵どもが集団で襲い掛かってくるので、難易度はバカ高い。
おまけに派手な演出なんぞほぼ皆無で、敵が大きく吹っ飛ぶ以外は派手な演出も無く、全体的に地味。
エンディングもメッセージとスタッフロールが数行表示されるだけというシンプルさ。
最初から最後まで徹頭徹尾ストイック。
プレイヤーに対する媚なんぞ微塵も感じられない、そんなゲーム。
だが、それがいい!
徹底に徹底したその暑苦しいまでのオーラは、まさに『漢の世界』。
コレを漢ゲーと呼ばずして何と呼ぼうか。
と、色々書いてしまいましたが、これって単に私自身がこういう野郎で硬派な雰囲気のゲームがかなり好きなので良く書いてるだけなんですよね、いやこれはさすがにこれは良い方に書きすぎだろ自分でも思ってたりしてます。
まあとりあえずは、広く受けそうにはないのは確実でしょうな、こんな地味渋くて汗臭そうな雰囲気。
裏拳!地味さ200%な特殊技だ!でも強いぞ! ウリァ! ジャングルを抜け、通信塔へ。 脱獄は終わらない…。 手榴弾投げてきやがります。 アブねーだろコラァ!


 微妙に個性的なアクション
脱獄を語る上で私が個人的に持ち上げたい部分の一つは、他のゲームでは見られないような一風変わった、微妙に個性的なアクションがあるということですね。
基本動作であるパンチ、アッパー、キック、蹴り上げ、ジャンプキックなどはまあ他のゲームでも見られる普通のアクションなんですが、このゲームにはそれ以外に一風変わったアクションが3つほどあります。
ひとつは、『バックナックル』。
パンチボタンとジャンプボタンを同時に押す事でバックナックル、いわゆる裏拳が出せるんですが、しかし見た目にも地味で(当時にしては)マイナーだった裏拳なんぞがわざわざ特殊わざとして用意されていたというのが渋い。
一応、この技は後方を攻撃できる手段として機能しますが、しかし後方攻撃なら他にもソバットとか、後ろ蹴りとか、肘打ちとか、もっとかっこいい見栄えのするアクションがあっただろうに、見た目にも地味な裏拳を選択するあたり、渋すぎるチョイスです。
しかもこの裏拳、けっこう判定が強かったりして、ジャンプキックしてきた敵も撃墜できるという。
そして次に、『ヘッドバット』。
キックボタンとジャンプボタンを同時に押す事で出る、いわゆる頭突きです。 ケンカ技としてはポピュラーかもしれませんが、格闘アクションゲームの技としてはマイナーもいいところ。
格闘ゲームが登場する以前においては、そもそもこんなわざ、このゲーム以外では『ダブルドラゴン』くらいでしか見たことないですよ、ヘッドバット(プロレスゲーは除く)。
しかしながらこの技、裏拳と違ってリーチ、判定ともに激弱で、当てるどころか相手に届かせるのすら一苦労。
もちろん無理して使ったらすぐに殴り返されます。
マイナーな上に使えないと、存在意義が非常に薄い技です、頭突き。
そして3つ目は、『銃で殴る』。
銃を持っているときにパンチボタンでで行える動作で、正しくは『銃のストックで殴る』です。
なんですが、上の二つ以上にアクションゲームとしてはマイナーすぎる動作です。
しかも地味。
ただ、ゲームとしては初めてかもしれませんね、銃で殴るという動作を導入したのって。 当時、他のゲームでこの動作を持ってたものってみたことありませんし。
その面においては、画期的なアイデアを搭載したもの…といえるかも。
ちなみに当時、ミリタリー系にはまっていた私としては、こういうB級アクション映画で良く見られるこの『銃で殴る』というアクションはものすごくカッコよく映ったものです。 地味ですが。
「ウリィィャァァーーッッ」とマシンガンが火を噴く! どう見ても当たってるのに、敵はこんなんでプレイヤーの弾を避けちゃいます。 お辞儀をしているのではなく、ヘッドバットです。 リーチが短いので使えない。 ちなみに右のヘリは敵ですが当に何もせず、兵士を降ろすだけです。 攻撃しろよ。 爆発に巻き込まれると大ダメージ。 気をつけろ!


 難易度もド硬派
硬派なゲームは難易度が高いとはよく言いますが、このゲームもそのご多分に漏れず、異様なまでに難易度が高いです。
それこそ、ワンコインクリアなんて不可能に思えるほど。
とりあえず、私も当時それなりにプレイしたものですが、ステージ2のラストあたりが限界で、ワンコインクリアはムリでした。
まず何が難しいかというと、ライフの少なさ。
このゲームはライフ制+残機制という、他のゲームに比べて比較的易しそうな印象を受けがちな制度になってますが、ところがどっこい、同社の『キングオブザモンスターズ2』や『戦国伝承』などと同じように、そのシステムを歯牙にもかけぬほど難しいです。
ライフは4メモリありますが、しかし敵の攻撃力は無闇に高く、一発で1メモリ、2メモリ、3メモリ減るのは当たり前。
オマケにゲーム中は回復する機会が一切無いときたもんだ。
一応、ステージクリア時にライフは全回復しますが、一つのステージが長いのでとてもそこまでライフが持ちません。
ありがたみほとんどゼロ。
つまりステージクリア時の体力回復なんてあってないようなものです。
そんな心細すぎるライフシステムの割に、主人公のメインとなる攻撃は頼りない。
パンチもキックもリーチが短い上に、判定も大して強くない。
敵を一体を倒すだけでも一苦労で、またこのゲームでは敵ののけぞり状態は無敵になっているので、一気に連続攻撃でまとめてぶっ倒すといった行為も出来ない。
というかそもそもプレイヤーの技は複数の敵をまとめて一気に倒せるほど連打が効かないし、リーチも無いし、判定もデカくないです。
唯一リーチのある技といえば、移動しながら攻撃可能なジャンプキックですが、こちらはというとやはりというか当然というか、一発出すのに時間がかかる。
まあ、それでも一番使える技には違いないんですが、でも体力のある相手には当てても吹っ飛ばず、そのために出かかりを潰されたり攻撃後に反撃されたりすることもしばしば。
そんなご無体なプレイヤーの性能なのに、敵は微塵も優しくありません。
独房のドアを破壊した瞬間から情け容赦なく敵が多数出現し、ちぎってもちぎっても後から後から沸いて来ます。
一度に2人、3人出現するのは当たり前、一度に5人、6人も敵が出現する事もしょっちゅう。
中にはナイフや銃、手榴弾、バイクを使ってくるヤツも。
特にナイフを使ってくるやつなどは、素手のザコより多いんじゃないかというくらい大量にでまくります。
少なくとも100人以上は確実に出てるはず。
主人公はずっと素手なのに…。
後半になるとそれに加えて、敵どもはスピードもアップします。
それこそ、主人公の3倍近いスピードで動き回るほどになるときたもんだ。
おまけに敵はライフが多いヤツも多数そろっているので、そんなヤツらが大量に出現してプレイヤーを取り囲んでボコにしてきます。
プレイヤーに出来る事といえば、敵を一体ずつじっくりと倒していくしかない。
そして一体倒す間に他のヤツから攻撃を受けたりするのもお約束。
一斉に取り囲まれてボコボコ!というケースもしょっちゅうです。 というよりもコレばっかり。
無論、囲まれたときに出すような緊急回避技なんぞありゃしません。
一応、落ちているナイフや銃を拾うことで強力な攻撃を繰り出す事が出来たりもしますが、しかしナイフは投げる武器で一度投げたら当然なくなってしまうし、銃も強力なことには違いないけど、めったに出ない上に弾は12発しかなく、さらに敵の中には銃弾をしゃがんで避けてしまう(コレがどー見ても当たってるようにしか見えない…)ヤツもいる。
こんなんで確実に勝てというほうがムリ。
一応、敵はジャンプすると一瞬動作が止まるという特性を持っているので、ジャンプキックを一発当ててすぐにジャンプで逃げる、ギリギリジャンプキックの届く間合いで連続して当てる、パンチを目押しでタイミングよく重ねる、後ろにのけぞらない攻撃を連続でタイミングよく重ねるといった攻略法などもあるにはあるんですが、どれも敵一体を対象にしたものであり、囲まれるとなすすべが無いなど、所詮は付け焼き刃。 オマケに敵のスピードが速いので、後半になるとそれでも手が付けられなくなり、さらには逃げる事も出来ないときたもんだ。
どうしてこう、SNKのゲームというのはライフ制で有りながらもこう難しいものばかりなんでしょうかねえ。
まあ、そういうやさしさの微塵も感じられないご無体な難易度が、ド硬派らしいといえばらしく、男臭さをより一層高める演出として機能しているといえばしているんですが。
ある意味、硬派。
ただ、こんな最凶な難易度でも、ンコインクリアも実現は可能らしいですね。 私は実現できませんでしたが。
昔どこかのスコアボードで、脱獄のスコアの備考にALLというマークが付けられていたのを見た事があります。
どんなプレイヤーがワンコインクリアしたんだろ…。
ただしかし、とにかく難しいゲームであったのは確かですが、ここまで長々書いたのを見ても分かるように、個人的にはそれなりに好きなゲームでした。
ゲームの出来こそ大したことはありませんでしたが、こういう硬派なゲームが好きな私にとっては、泥臭くて渋すぎなこの雰囲気が、けっこう私にはツボだったものです。
敵が派手に吹っ飛ぶので、爽快感もありましたし。
個人的には、この泥臭さこそが『脱獄』の魅力であり、わりと気に入ってます。
 クリアデモその1 この時点で脱獄成功したと思うんですが、ゲームはまだ続きます。 生身でヘリを墜とした…わけではなく、ヘリから出てきた兵士をブッ倒しただけです。 取り囲まれてタコ殴り。 死ぬまでこのままボコられます、ヒデェ。


 ストリートスマートとスタッフ同じ?
このゲーム、プレイしたら一瞬で分かると思いますが、グラフィックのタッチから雰囲気からプレイ感から、同社の『ストリートスマート』というゲームに非常に似てます
そりゃもうかなりのもので、まず間違いなく同じスタッフだろうと思われます。
キャラの豪快な吹っ飛び方なんかモロにストリートスマートの軌道そのまんまだし、効果音に至っては同じもの使いまわしされてるし。
ストリートスマートはアメリカにあるSNKアメリカ支社にて作られたもので、この脱獄も同様にSNKのアメリカ支社にて作られたということなので、スタッフはまったく同じだったんでしょうね、多分。
確かに、ストリートスマートなんかモロにアメリカンな雰囲気だったし、ワンコインクリアを想定としてないゲームバランスといい、豪快な吹っ飛び具合といい、なんとなくアメリカで稼動するアーケードゲームっぽい感じがしないでもないですな。
まあ、あくまでプレイした感じから私が推理しただけなので、本当に同じスタッフだったのかどうかというのは不明なんですが。
 自慢のマシンガンが火を噴くぜ! ドボォッ! いたいっす。


 なぜかファミコンに移植
『脱獄』はどういうわけか、ファミコンに移植されてました。
海外での評価は知らないんですが、少なくとも日本では、アーケード版は別段大ヒットしたとは思えないタイトルなんですが…。
まあ経過はどうあれ、ファミコンに移植されたということなのは確かです。
メーカーはケイアミューズメントリース。
SNKのタイトルを多数ファミコンに移植しているメーカーですね。 『怒』の移植度は今でも忘れられません。
ちなみに内容のほうは基本的には同じですが、画面が若干チープになった以外にも、ファミコンで長く遊べるようにとの配慮かはたまた他に理由があったのか、ファミコン版では色々なアイテムが追加されてたり、建物の中に入れたりなど、アーケード版に比べてけっこうな差別化が図られていたようです。
といっても、私自身はファミコン版のほうはプレイした事はないので、細かくどう違うのかというのは知らないんですが。
 コレがファミコン版だ! グラフィックがチープなのはハードの限界だ、許してやれ。 豪快な敵の吹っ飛びも再現されてるぞ! そうこうしゃからわらわらと出現する同じ顔の敵兵ども。 あんたらクローン人間ですか?


 脱獄と私
このゲーム、そこそこ熱中しましたね。
ゲームそのものはぶっちゃけC級アクションともいえる程度のものなんですが、敵を吹っ飛ばしたときの爽快感がなかなか高かったので、暇な時はわりと何度もやったものです。
まあ、超絶難度だったのでワンコインクリアこそ実現できませんでしたが、とりあえずワンコインで半分くらい(2面ラスト)まではいけるほどプレイしました。
そうですね、おおよそはストリートスマートと同じくらいやりこみましたか。
奇しくも、同じスタッフのゲームという事で、同じくらいプレイし、大体同じ程度プレイしたところでプレイしなくなったという事になりますな。 奇遇な。
あと印象に残っているのは、ある正月の日(1日)、お年玉をもらって従兄弟と一緒にゲームセンターに行き、このゲームを500円くらい使ってオールクリアした事ですね。
アレが唯一、このゲームをオールクリアした時だったっけ。
約500円(約10クレジット前後)ほど使って苦労してクリアした割に、数行のメッセージとスタッフロールが流れるだけというあまりにシンプル(手抜き?)なエンディングに悪い意味で衝撃を受けたものです。
それ以降も最寄のゲーセンから撤去されるまで、誰もプレイしてないこの台をだらだらとちょっとずずはプレイしてました。
クリアデモその2 男臭さ爆発な絵ですな。 後方にいるのに喰らってしまうという、ご無体な敵の攻撃判定のデカさ。 いたいっす。 バイクだろうがなんだろうが、このジャンプキックにかなうヤツはいない、アチョッ!

にしても、こんなマイナーなゲームに6000字も書くなよ>ほのん
ストリートスマートの倍の量だし
ラスボス。 脱獄、つまり逃亡が目的なのに、なぜかラスボスがいます。 しかも銃を使ってくる。 このあと彼はメタルギアとの戦いに向かう…てかメーカー違うって。 味方と落ち合い、ようやく脱獄成功。 メッセージ数行とヘリが飛ぶシーンだけという、あまりに何も無いエンディング。
2003年3月26日


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